賃貸選びで営業マンが使う決め物件って知ってる? 空き室をなくす賃貸不動産経営のコツ

賃貸不動産の営業マンはどのように営業を行っているか知っていますか? 実は「決め物件」という営業テクニックを使っています。不動産の大家さんが知っておきたい空き室をなくす賃貸不動産経営のコツを紹介します。


賃貸物件の成約率

賃貸不動産経営では、物件を見に来てくれる内見者が増えないと、成約には結び付きません。おおよその目安ですが、中古物件では5回の内見で1件の成約、新築物件では3回の内見で1件の成約といわれています。

「意味のない内見」と「真の内見」

内見には、「意味のない内見」と「真の内見」の2種類があります。真の内見とは、「入居希望者が特定の物件に問い合わせをして、内見した回数」と「営業マンが特定の物件に決めるつもりで、内見者を案内した回数」のことです。

それ以外は、「意味のない内見」です。ではなぜ、意味のない内見をするかというと、管理会社の担当者の立場からすると、あなたに対して「お客さんを案内するために動いてますよ!」とアピールする材料が欲しいからです。大家さんから「なぜ入居者が決まらないのか」と追及されたときのエビデンス(証拠・根拠)ということになります。

また、仲介業者の営業マンの立場からすると、ほかの物件に決めるための「当て馬」として内見していることもあります。

「希望条件の7割」とは?

「希望条件の7割」とは、入居希望者は極めて漠然としたイメージの中で物件を選んでいるということです。不動産業界では、住まいを探すときの希望条件については、住宅売買の場合7~8割の条件を満たしていれば購入するといわれ、賃貸の場合は6~7割くらいといわれています。

さらに、賃貸営業マンの力もあなどれません。入居希望者は不動産業者を何店舗か回ると、営業マンの印象も、ここは良かった、あそこは良くなかったと覚えているものです。物件の印象と合わせて、営業マンの印象で決めている部分があります。

成約の決め手は営業マン

一般に成約の決め手は「物件の力」ですが、じつは営業マンの手腕がものをいうケースも多いのです。数多くの入居希望者と接している営業マンは、「この入居希望者には、あの大家さんの物件が合っている」という直感が働きます。入居希望者にヒアリングをしながら、大家さんの物件、大家さんの顔を思い浮かべ、いくつかの組み合わせができます。

そのとき、仮に入居者したい人の希望と100パーセント合わなくても、思い浮かんだ物件をお勧めすることはあります。「ここは大家さんがいい人だし、室内がきれいですよ」「条件通りの設備ではないけれども、静かな環境で駅にも近いですよ」と入居希望者の背中を強く押すのです。

この場合、入居希望者のことを考えずに、ただごり押しする営業マンは論外ですが、信頼された営業マンであれば、入居希望者も納得の上で、成約につながる確率は高まります。

案内される物件の「当て・中・決め」のランク

紹介される物件には、「当て・中・決め」という3ランクがあります。これは不動産賃貸の業界では一般に知られた話です。賃貸仲介の営業マンは、多くの入居希望者と接客することで売り上げアップにつながります。

できれば2~3時間くらいで、1人の入居希望者への接客は終えたいわけで、午前9~12時までに1回、午後は1~3時で1回、午後3~5時に1回、最後に午後5~7時に1回と、1日で計4回の接客ができるといいなと考えているものです。1回で案内できる物件数は限られ、通常は3、4件です。そのため、連れて行く順番も漠然とは決めず、効率を重視したストーリーを描いています。

たとえば、入居したい人の希望が家賃5万円の部屋だとします。その価格帯でも、バス・トイレが同室の物件もあれば、バス・トイレ別室の物件もあります。また、畳の5万円もあれば、フローリングの5万円もあります。1階もあれば、最上階の5万円物件、築年数の浅い物件もあれば築年が30~40年の5万円物件もあります。

その中で営業マンの過去の経験から、「どういう順番で見せていくと、決まりやすいか」と計算して、内見に出かけるわけです。

最初はランクの低い物件

最初に連れて行く先は、「この物件には住みたくないな…」というランクの低い物件で、これを「当て物件」といいます。たとえば、築30~40年でバス・トイレが同室、和室の1階といった物件、あるいは、リフォームが全然されていない汚い部屋に連れて行きます。すると入居希望者は「いや~、この部屋は無理」と思うわけです。

次は中物件

次に連れて行くのは、同じ家賃5万円でも、たとえば2階で部屋が狭かったり、バス・トイレが同室であったり、洗濯機置き場がなかったり、最初の物件よりは悪くないけれども、すごく良いわけでもない。「まあ、この物件ならありかな」と思わせるレベルの物件で、これを「中物件」といいます。

最後に決め物件

そして、最後に連れて行くのが、「決め物件」です。築年も浅くフローリングで最上階、バス・トイレ別といった好条件の部屋をラストに見せます。

その順番で案内すると、当然、最後に見た一番良い物件が印象に残ります。どれかを選ぶとしたら、最後の物件で手を打つことになるでしょう(しかも、昨今は物件が飽和状態のため、「決め物件」レベルの部屋がたくさんあります)。

賃貸物件の営業マンは、物件紹介というストーリーのラストシーンが盛り上がるように、考えているのです。

「決め物件」は賃貸営業マンによって作り出される

そして、物件というのは、入居希望者のおめがねにかなうものが自然に選ばれているわけではありません。営業マンは、入居したい人の希望条件をヒアリングしていきます。接客経験を積んでいるほど、ヒアリングによる経験値が高く、その客のおめがねにかなう「決め物件」をマッチングさせやすいのです。

また、マッチングする過程では、仲介手数料1ヶ月以外に大家さんから広告料がもらえる物件、あるいは仲介手数料は1ヶ月だけでも「確実に決まるだろう」という条件の良い物件が、営業マンの頭の中でピックアップされます。

その「決め物件」がまずあって、そこから逆算して「最初にここへ連れて行こう」「次にあそこへ連れて行こう」というふうに内見の順番が組み立てられていくわけです。

このように、「決め物件」とは、入居希望者によって選ばれるのではなくて、賃貸営業マンによって作り出されているのです。賃貸不動産の大家さんは不動産営業マンの気持ちを考えることが空き室をなくすコツだったのです。

参考本

「たった18日で次の入居者が決まる! 満室革命プログラム(尾嶋健信)」の詳細を調べる

    
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