コラボ旅行記の面白さ

女優の鶴田真由と写真家の小林紀晴による『Silence of India』(赤々舎)は、両者の写真集であり旅行記です。小林が鶴田を撮影したのではなく、双方がカメラをかまえて撮影した写真がランダムに並べられています。一見すると、どちらがどの写真を撮ったのかはわからないようになっていますが、鶴田は人、小林は風景に興味があるようにも見えます。

コラボ旅行記

さらに本書では、ある程度の長さの文章も収められています。こちらは、きちっとクレジットがなされています。同じ場所と時間を共有していたとしても、双方が異なる興味を持っていることがわかり面白いです。いわゆる旅のレイヤーといったものが浮き彫りになってくるといえるかもしれません。

旅をはじめた小林

小林紀晴は90年代に、主にアジアを旅する若者を追いかけた『アジアン・ジャパニーズ』シリーズで知られました。その後、旅から遠ざかっていたようですが、再び旅をはじめたと記されています。そのきっかけとなったのが、旅する女優として知られる鶴田真由で、彼女に背中を押される形となったのでしょう。旅は、いわば何かを触発される行為であるともいえるかもしれません。事前に計画を十分に練っていくことも可能ですし、あるいは突発的に旅に出てみるといったことも可能です。本書はそんな旅の魅力を静かに伝えてくれる本だと言えるでしょう。