ぢるぢる旅行記とは何か?

旅行に関する記録をまとめた旅行記というのは多く存在します。沢木耕太郎の『深夜特急』(新潮社)シリーズなどはよく知られているでしょう。こうした旅行記の魅力とは、いつの時代であっても読み継がれるという点がありますね。毎年、最新版が更新されて編集されて発売されるガイドブックと違い、旅行記は10年前であっても、あるいは100年前であっても同じ空気を感じ取ることができるのです。

不朽の名作

そうした不朽の名作の旅行記のひとつに数えられるのが、ねこぢるによる『ぢるぢる旅行記』(青林堂)です。いくつかのバージョンが出ていますがインド旅行と、ネパール旅行の双方を網羅した本が一番読み応えがあると言えるでしょう。本書は、1998年に31歳で亡くなったねこぢると、当時の夫であった漫画家の山野一がインドを旅行した記録です。時代は1995年の春先であり、現地で日本でオウム真理教が起こした地下鉄サリン事件を知るといった体験もあります。

ネット以前の世界

当時はインターネットもない世界ですから、日本から離れて、ひたすらインドを旅していきます。日本人旅行者との交流や、現地の人間との交流などが描かれていくのですが、特にねこぢるは波長の合う人間と合わない人間のジャッジに厳しく、あつかましい女子大生に怒り心頭といった場面もあります。そうした人物にとってインドをはじめアジアのゆるさはうまくはまっていったとも言えるかもしれません。