「花物語バビロン」とアジアの世界

「花物語バビロン」という映画があります。日本へ移り住んだ日系ブラジル人と、タイ人と日本人の関係を、山梨県の乾いた土地を舞台に描いたヒット作映画「サウダーヂ」で脚本を務めた相澤虎之助が学生時代に監督した映画です。「花物語バビロン」の舞台は、1990年代半ばのアジアの都市です。大学生が長期休みを利用してバックパッカーとして降り立った場所はバンコクでした。中華街の安宿に泊まり、アジアの喧騒に触れます。これだけだと、ただの旅行日記ですが、映画はそこにとどまりません。タイやラオスにまたがって住む少数民族モン族にまつわる歴史がナレーションで語られます。英語の字幕とナレーションが矢継ぎ早に示され、見るものに混乱をきたします。しかし、この混沌こそがアジアなのだと感じさせられます。


我々は猿岩石なのか?

映画が製作されたのは1997年になります。1995年に猿岩石がユーラシア大陸横断ヒッチハイクを成し遂げて、この旅のスタイルにあこがれて、同じようなことをする若者が多くいました。「花物語バビロン」もそのような猿岩石、アジア、バックパッカーという三題噺をなぞりながらも、オリジナルな展開を見せてゆきます。作品に登場するモン族は少数民族という立場ゆえに、ベトナム戦争時に、アメリカ側に使われたという不幸な歴史を保持しています。そのようなあべこべの歴史、倒錯した歴史を、「花物語バビロン」は浮き彫りにするのです。それが池上彰さんのニュース解説のようなわかりやすさではなく、ひたすら拡散していくところに映画のキモがあります。

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