忘れられた紀行作家、小林紀晴

小林紀晴という写真家がいます。彼は90年代は、写真家であるとともに文筆家としても注目されていました。出世作といえるのが「アジアンジャパニーズ」でしょう。


三部作

「アジアンジャパニーズ」は三部作で成り立っています。第一弾は、著者自身がアジアの各地を旅する中で知り合った日本人たちとの交遊録が描かれています。3年あまりが経ち、旅人たちとの再会も記されています。バンコクの安宿にとどまっていた老人はすでに亡くなっており、ネパールで知り合った青年は自殺しています。等身大の姿が描かれていたのが「アジアンジャパニーズ」の魅力でした。

その後は?

「アジアンジャパニーズ」の第二弾は舞台をヨーロッパに移します。このシリーズには作者が私淑する詩人、金子光晴の足跡を追うというテーマがありました。アジア放浪を経てパリへ至った詩人の姿を追うように小林紀晴はパリへ渡ります。ですが、第二弾は日本人がヨーロッパへ行き萎縮してしまう典型のような様子が描かれており、少し精彩を欠きます。第三弾は沖縄から故郷である長野県の諏訪へ至る様子が描かれています。旅を経ても故郷があるということでしょうか。

沢木耕太郎の「深夜特急」が末永く読み継がれているのに対し、小林紀晴は忘れられてしまった紀行作家であるといえます。「アジアンジャパニーズ」を読み、90年代のノスタルジアに触れてみてはいかがでしょうか。

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