旅のオススメ本(香港編)

旅にはゆっくりとした時間があります。飛行機の待ち時間、バスの待ち時間、あるいは安宿のベッドの上などでふっと文庫本を広げるのも良いものです。


その土地のものを持って行く

そんな旅をするにあたっておすすめなのがその土地にまつわる本を持っていくことでしょう。本に記された場所を訪れてみたり、現地の言葉や食べ物にふれるきっかけにもなります。そうした本でおすすめなのが星野博美による『転がる香港に苔は生えない』(文春文庫)です。著者の星野博美氏は、本作において大宅壮一ノンフィクション賞を受賞しました。

二度の香港住まい

本書の構成は二部です。まずは80年代に学生時代に行った1年間の香港留学、その後1997年のイギリスから香港への返還前後の2年間、現地に住んだ様子を記したものです。作中で著者は留学時代に出会った人たちに会いにいきますが、ほとんどが同じ場所には住んでいませんでした。めまぐるしく人や物が移り変わるのが香港だと言えるでしょう。香港が返還され、かつて街中にあった飛行場は郊外へ移転し、香港の街の喧騒は失われていきました。それを機とするように著者は日本へと帰国します。旅の刹那的な要素とも合わさって、読めば読むほど味わい深い本になるといえるでしょう。本書は、文庫本は分厚いですが、現在は電子書籍も発売されていますので、荷物をできるだけ軽くしたいという人にはそちらもおすすめです。

    
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