日本が分断国家に!? 矢作俊彦「あ・じゃぱん」

戦争をテーマとした文学作品は数多くあります。その中で日本において多いのが、架空現代史ものというべきものです。

これは戦争で日本が勝っていたらどうなっていたか、あるいは戦争がいまだ続いていたならばどうなっていたか、といった世界を描いたものです。そのジャンルにおいて名作に数えられるものが矢作俊彦「あ・じゃぱん」です。


「あ・じゃぱん」の世界とは?

「あ・じゃぱん」に描かれる世界をざっと概観すると、第二次世界大戦後、日本が東日本と西日本に分断される話です。東側はソ連、西側はアメリカに占領されます。

本州の真ん中には巨大な壁が延々と築かれています。あまりに長い距離のため壁は所々崩落しています。特に日本海沿いにその傾向が強く、壁を超えて物資や労働力の移動が頻繁に行われています。

その壁を超えて新潟の美味しいお米が密輸され、首都・大阪では高級品として重宝されている。その米密輸を取り仕切っているのが新潟のボスとして君臨する田中角栄とされる人物です。

モデルが無数にいる

このように「あ・じゃぱん」には実在の人物が無数に登場します。

政治だけではなく、地名や名所も多く登場します。大阪の伊丹空港は滑走路が一本しかないため、着陸を待つ飛行機が近場でぐるぐると旋回することになり、その様子は「鳴門の渦潮」と呼ばれるといったコネタが多く盛り込まれています。

これでもまだ書き足りないくらいの地理ネタが無数に登場するので、じっくりと味わいたい一冊です。

    
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