2013年の受賞作が決まる前に「本屋大賞」について知っておきたいこと

全国の書店員がいちばん売りたい本を選ぶという趣旨で、2004年から開催されてきた「本屋大賞」。受賞作や候補作が毎年ベストセラーになるなど、文芸書の復興に一役買っています。面白そうな小説を探す際に、この賞を指標としている人も多いかもしれません。現在、第10回目の開催となる、「2013年本屋大賞」の2次投票の真っ最中。今回は、賞の設立経緯や選考方法など、本屋大賞の概要についてご紹介します。


■本屋大賞はこうして誕生した

博報堂ケトルの嶋浩一郎さんが、本屋大賞立ち上げの経緯について、『しかけ人たちの企画術』の中で次のように語っています。出版不況が深刻化していた2004年当時、嶋さんは『WEB本の雑誌』の編集に関わるなかで、「自分だったら直木賞にこれを選ぶのに」と思っている書店員がたくさんいることに気がつきます。文芸書の賞は、作家や評論家が選ぶことが慣例になっていますが、「書店員が選ぶ賞があっても良いのでは」と思い、本屋大賞の設立を考えました。賞がメディアで取り上げられて、注目を集めることによって、書店員が誇りを持って積極的に本を売ろうという状況が生まれる……。本屋大賞の企画段階からそうしたシナリオを描いていたそうです。書店員のやる気と努力によって、本屋大賞の知名度は上がり、ベストセラーを生みだす結果となりました。

■書店員の投票によって決まる候補作と受賞作

本屋大賞に投票するための条件は、新刊書を取り扱う書店で働く書店員であること。リアル書店だけでなく、オンライン書店の書店員であっても投票が可能です。選考の流れについては、まず、1人3作品を選んで投票する1次投票が行われます。1次投票の集計結果から、票が多かった上位10作品がノミネート本(候補作)として発表されます。次に、候補作をすべて読んだ上で、全作品に感想コメントを書いてベスト3に順位をつけて投票する2次投票が行われます。2次投票の結果、最も票を集めた作品が受賞作となります。こうして見てみると、特に2次投票では、投票するまでに結構な労力が必要であることがわかりますね。それゆえに、賞自体の信頼度が高いのかもしれません。ちなみに、投票部門は「本屋大賞」の他に、「翻訳小説部門」と「発掘部門」が設けられています。

■これまでの受賞作

  • 第1回『博士の愛した数式』小川 洋子著/新潮社
  • 第2回『夜のピクニック』恩田陸著/新潮社
  • 第3回『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』リリー・フランキー著/扶桑社
  • 第4回『一瞬の風になれ』佐藤 多佳子著/講談社
  • 第5回『ゴールデンスランバー』 伊坂幸太郎著/新潮社
  • 第6回『告白』 湊かなえ著/双葉社
  • 第7回『天地明察』冲方丁著/角川書店
  • 第8回『謎解きはディナーのあとで』東川篤哉著/小学館
  • 第9回『舟を編む』三浦しをん著/光文社

2013年本屋大賞の受賞作発表は4月9日。それまでに候補の作品を全て読んで、受賞作の予想をしてみるのも面白いかもしれません。

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