原稿用紙に書けない小説家

小説家が小説を書く時、どのような紙を使うでしょうか。現在ならばワープロ原稿を使うという人も多いでしょう。ですが、いぜんとして手書きにこだわっている作家もいます。


専用の原稿用紙も

作家が何かしらの賞をとってデビューした時などは専用の原稿用紙を用意する人もいます。署名入りの原稿用紙を使うといったものです。ですが、原稿用紙を使わない作家もいました。それが中上健次です。

どんな作家?

中上健次はどんな作家だったのでしょうか。彼は昭和二十一年に和歌山県新宮市で生まれます。故郷の新宮、と一帯の地域である熊野を舞台に、濃い血のつながりの人間関係をテーマとする小説を描きました。さらに、自身が育った被差別部落を「路地」を呼び、現実と呼応する路地の解体をテーマとする小説も描きます。

肉体労働と小説

中上健次はデビューするまでは、肉体労働をしながら小説を書いていました。時間のあるときに喫茶店で、集計用紙を広げて、びっちりとつめ込まれた丸文字の小説を描いていました。彼はそのくせが抜けず、デビューしてからも集計用紙に小説を書き続けていたといいます。署名入りの原稿用紙も作家らしく作ったのですが、最後まで使うことはありませんでした。さらにワープロなども覚えることなく、わずか四十六歳の若さでこの世を去ります。

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