早見和馬「95」の世界

早見和馬の「95」は、1995年に高校生だった主人公と、結婚し子供を持った20年後、2015年の世界がシンクロする名作青春小説です。


95年は何があった?

1995年といえば、一般的にはオウム真理教と震災の年として記録されます。1月に、神戸を中心に震度7の地震がおそい、甚大な被害をもたらします。3月には、東京でオウム真理教によって地下鉄サリン事件が引き起こされます。渋谷の大学付属高校に通う主人公は、このサリン事件を契機に人生が変わります。政治家の息子を中心とする、若者グループに引入れられた主人公は、渋谷のアンダーグラウンドな部分をのぞき見るようになります。そこにはチーマーがたむろし、さらにチーマーを襲撃する暴走族などの姿も描かれます。

不良小説ではない

しかし「95」は単なる不良小説ではありません。ちょっとした淡い恋があり、映画や音楽やドラマといったサブカルチャー的なキーワードも散りばめられています。特に、主人公が引入れられたグループが登場するストリートカルチャー雑誌の名前が『東京フリッパーズマガジン』と聞けば、音楽好きはぐっときてしまうのではないでしょうか。この雑誌のモデルは『東京ストリートニュース』であり、フリッパーズは、小山田圭吾と小沢健二が結成していたフリッパーズギターをモデルとするものでしょう。時代の感覚をうまく切り取った名作小説が「95」なのです。

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