佐藤優『紳士協定ー私のイギリス物語』が文庫化

佐藤優の最高傑作ともいえる『紳士協定ー私のイギリス物語』が文庫化されました。佐藤優さんといえば、政治経済や外交、あるいは宗教に関する専門的な著作をする人という印象があるかもしれません。しかし、本書は異なる趣きを持つものです。


イギリスでロシア語研修

本書で描かれる内容は、外務省へ入り二年目の彼がイギリスでロシア語研修を受ける様子が描かれています。若き佐藤青年は、中流階級の下位クラスに属する家へホームステイを行います。そこにはグレンという少年がいます。グレンは、公立の学校へ通っており、非常に優秀な学生です。日本文化への興味を持ち、佐藤青年へさまざまな質問を投げかけます。さらに、公開されたばかりの映画「戦場のメリークリスマス」を眺め、お互いに意見交換を行います。「戦場のメリークリスマス」は第二次大戦下の、日本軍による捕虜収容所が舞台です。そこで生まれたイギリス兵と日本兵の友情と愛情が描かれています。

なぜロシア語の研修をイギリスで行うのかといえば、当時はソ連は日本は潜在的な敵国であるため、ロシア語教育が十分に受けられないことを憂慮したためです。佐藤青年は、高校時代に交流のあった同期入省の秀才青年との交遊録も描かれます。この同期の青年とは、佐藤優が逮捕されることにより、二度と会えなくなってしまいます。こうした切ない世界も描かれています。

着想は拘置所の中

物語全体にとても澄んだイメージがあります。これはなぜかと言えば、佐藤優が東京拘置所に収監されていた時、ありあまる時間を使って必死に記憶を呼び起こしたためでしょう。

それであるがゆえに、一章に一度しか描けない名作が生み出されたとも言えます。

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