リブロ書店のもたらしたもの

7月20日に、池袋の西武百貨店内にある大型書店であるリブロ池袋本店が閉店しました。これは一つの時代の終わりを現す象徴的なものです。リブロは通常の書店とは異なっていました。


他では売らない本を売る

リブロは、1980年代のニューアカブームを牽引した書店といえます。ほかの書店ではなかなか売れない高価な学術書を大量に売ることで知られました。それは、著者を五十音順に並べるのではなく、ある著書が影響を受けた現代思想の本などをそばに並べることで、一つの体系を作り出していました。これは担当していた書店員にならって「今泉棚」と呼ばれました。出版社の人間が、本を売るために書店員を訪ねてくることもあったようです。

アートも充実

さらに画集や写真集といったアート関係の書籍も多く取り扱っていました。高価な本でも価値があるものならば売れるという確信のもとで販売が行われていたのです。さらに、西武百貨店の中にはセゾン美術館も入っており、ここでも多くの前衛的な展示が行われていました。

書店内書店

さらにリブロ書店の中には書店内書店というべきものが存在していました。ぽえむぱろうると名付けられた書店は、詩を扱っていました。どんなに、有名な人でもほとんど金にならないと言われている詩を、有名無名問わず取り扱っていました。詩の同人誌なども積極的に取り入れていました。もちろん、書店が利益を生み出すことはなかったでしょうが、こういった場所を、書店の中に確保しておくという精神が、リブロらしさというべきものでした。

7月20日に閉店したリブロ池袋本店は、単なる大型書店の閉店にとどまるものではありません。この書店は80年代のニューアカブームを牽引した場所であり、さらに、書店内に詩の専門書店を作るなど意欲的な活動で知られていました。ひとつの書店の終わりにとどまらない、ひとつの文化の終焉というべきものなのです。

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