「ゴーマニズム宣言」のはじまり

漫画家の小林よしのりさんの代表作の一つが「ゴーマニズム宣言」シリーズです。小林よしのりさんは、「東大一直線」や「おぼっちゃまくん」などギャグ漫画の書き手として知られていました。そんな、小林さんが、社会派のテーマにいどんだ「ゴーマニズム宣言」をはじめた理由は何なのでしょうか。


相対主義への違和感

「ゴーマニズム宣言」には、ひとつの伏線というべき作品があります。それが雑誌『宝島』に連載していた「おこっちゃまくん」です。これは名前の通り「おぼっちゃまくん」のパロディです。小林よしのりさん自身が体験したこと、怒りを覚えたエピソードを見開き2ページのエッセイ漫画として記すものです。この連載で、小林よしのりさんは、オタクなどに対して批判を向けます。しかし、当時の『宝島』は、オタク寄りの雑誌であったため、読者の反感を買います。さらに、雑誌の端に差し込まれる一行コメントでも、内容を茶化すような内容が記されて、小林さんは失望します。自分が作った絶対的なものを、相対化されることに違和感を覚えたようです。これは、すべてをネタとして消費してしまう現代のネット社会を先取りしたようなものだとも言えるでしょう。

ゴーマニズム宣言へ

やがて「おこっちゃまくん」を見た、「週刊SPA!」の編集者が、小林さんに連載話を持ちかけます。小林さんの身近な体験ばかりではなく、社会全体への怒りを漫画化したものが「ゴーマニズム宣言」でした。その怒りの対象は小林さんもいたマンガ業界ばかりではなく、芸能界、政治経済、国際情勢など多岐に渡ります。小林さんの鋭い直感からくる切れ味のいいフレーズと、漫画家としてのサービス精神があふれた作品はまたたく間に人気作品となりました。これまでお硬いものとされてきた社会派ネタをポップに消費したことも、作品の魅力といえるでしょう。

小林よしのりさんの代表作のひとつである「ゴーマニズム宣言」は、世間の価値相対化に対する怒りから生まれた作品であるといえます。

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