土田世紀「編集王」の世界

2012年に亡くなった漫画家の土田世紀の代表作のひとつが「編集王」です。これは、漫画編集部を舞台としたマンガです。いわば、漫画家が、マンガ業界、出版業界の裏側を描いた作品として知られています。


嫌な奴

「編集王」に登場するキャラクターは、編集者も、漫画家もアクの強い人物ばかりです。例えば、良い作品を作るためならば、締め切りを破って当然というギャグ漫画家晴海、締め切りを破るくらいならば、適当な仕事で済ませろと要求する編集者明治一郎など、さまざまな本音と建前の世界が描かれています。基本的には「嫌な奴」が大量に登場します。その「嫌な奴」を、マンガ編集の経験はないのだけれども、熱血漢の桃井環八という主人公の活躍によってほだされてゆくというのが物語の骨子なのです。

アル中漫画家

「編集王」は、いくつかのパートに分かれていますが、もっとも泣けるシリーズが、マンボ好塚でしょう。かつては、純粋な気持ちで少年漫画を書いていた作家は、金を得るにしたがって、酒の味をおぼえ、やがてアル中漫画家となってしまいます。そんなマンボ好塚を見捨てず、陰ながら支える、仙台角五郎という敏腕マネージャーの存在が、作品にスパイスを与えます。

土田世紀自身が、アルコールに溺れ、43歳の若さで体を壊して亡くなっています。もっとも味のある、「編集王」のマンボ好塚というのは、作者自身の姿を投影したものなのかもしれません。

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