「つげ義春日記」の魅力とは?

つげ義春といえば「ねじ式」「紅い花」「李さん一家」などの作品で知られる漫画家です。描きこまれた世界と、言葉少な気なセリフ回しは文学的とも形容されます。これはつげ自身が川崎長太郎をはじめとする私小説を愛読していたことが作風に表れているとも言えるでしょう。


書きすぎた日記

そんなつげ義春にはいくつかのエッセイ作品、文章仕事があります。温泉紀行などはいまだに入手可能ですが、なかには幻となっている作品があります。それが『つげ義春日記』(講談社)です。この作品は、つげが女優の藤原マキと結婚し、一人息子が生まれ新米パパとなった時代の様子がつぶさに記されています。漫画の注文が途絶えつつはあるのだけれども、過去の名作集への収録の話などが来る様子が記されています。ただ近所の人とのトラブルなども詳しく書きすぎてしまったため、のちに当事者からクレームが来たとも言われており、現在は絶版状態となっています。

金への不安

本書に記されているのは、つげの金に対する不安であると言えるでしょう。つげは800万円近くあるにもかかわらず、常に自分は食い詰めてしまうのではないかと不安に苛まれています。さらに毎月出ていく家賃にも頭を悩ませて、近くに手頃なマンションはないかと探し回る様子も記されています。どのような人にも不安や悩みがあるのだと当たり前に気づき、ほっとさせられる本でもあるでしょう。

    
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