悪趣味マニュアル本の世界

千葉大学の学生が、埼玉県の女子中学生を誘拐し二年間にわたって監禁していた事件は世間に衝撃をあたえました。犯人の男性は「完全失踪マニュアル」を参考にして、監禁を行ったといわれています。


太田出版が版元

「完全失踪マニュアル」は元探偵を名乗る樫村政則によって、1994年に書かれた書籍です。版元は太田出版です。太田出版は、酒鬼薔薇聖斗こと元少年Aの手記「絶歌」の版元としても知られています。「絶歌」にかぎらず太田出版は、こうした読み物を多く出版していました。

完全自殺マニュアル

「完全失踪マニュアル」が刊行される一年前にには鶴見済によって「完全自殺マニュアル」が出版されています。さらに鶴見は1996年には「人格改造マニュアル」も出版しています。「○○マニュアル」というのは、80年代などに出版界の流行としてありました。デートマニュアルや、受験マニュアルとしての参考書など、なにもかもマニュアルにしてしまう文化状況への批評、あるいはパロディとして、悪趣味なマニュアル本は存在していたといえるでしょう。当時は単なるおもしろおかしい読みもののひとつであったはずなのですが、それを参考にした事件が起きてしまう悪影響が起きてしまったことは驚きです。それも20年以上たって参考にされてしまうというのは、皮肉なことですが、それだけ本に書かれていた内容が実践的であったということにもなるのでしょう。

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