朝ナマ文化人とは何か?

2015年12月に亡くなった野坂昭如さんは、作家活動とともに、多くのテレビ番組に出演することで知られていました。代表的なものがテレビ朝日系で放送されている「朝まで生テレビ」でしょう。


朝ナマ文化人枠

野坂さんは、たびたび「朝まで生テレビ」に出演していました。すこし、どもりながらしゃべる姿を印象に残している人も多いのではないでしょうか。野坂さんのスタンスというのは、自分自身が体験した戦後の闇市の記憶にもとづいています。ああいう悲惨な体験、ひもじい体験をしたくないということで、戦争反対の平和主義の立場をつらぬきます。しかし、それは野坂さんの一種のスタンスであったということもいうことができるかもしれません。野坂さんと同時期には多くの論客が「朝まで生テレビ」には出演していました。映画監督の大島渚であり、東大助教授を自らやめた西部邁であり、当時は国際政治学者を名乗っていた舛添要一であり、学生運動出身の学者である栗本慎一郎でありといった面々です。彼らは明確に自分の立場を意識していました。なおかつ、その中で哲学的な問い、例えば「世界はどうなる?」「生きるよろこびとは?」「文化とはどうあるべきか?」そういった抽象的な問いにも向き合っていました。野坂さんも、私的な体験、私的な言葉をもっていたからこそ、説得力があり、オリジナリティを保持できていたのだといえます。

代議士はつまらない

ひるがえって、現在の「朝まで生テレビ」はどうでしょうか。現在の同番組には現役の国会議員がたびたび登場します。彼らはしゃべりのプロでありますから、口からどんどんと言葉が出てきます。ですが、いずれもきれいごとであり、決定的な失言や放言といったものはありません。野坂さんがしゃべっていたような私的な言葉が一切聞こえてこないというのも寂しいものです。やはり昔の「朝まで生テレビ」が恋しくなります。

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