「星とともに走る」を読む

四方田犬彦といえば映画研究家として知られます。しかし映画だけに限らず、文学、音楽、漫画、さらに旅行記など、多くの分野に通じた人間として知られます。まさに知のディレッタントであるといえるでしょう。そんな四方田犬彦の半生がうかがい知れるのが「星とともに走る」(七月堂)です。


「ガロ」連載の収録

本書は、漫画雑誌「ガロ」(青林堂)に連載された日記がもとになっています。「ガロ」は月刊雑誌なので、月ごとに数日分がピックアップされています。四方田犬彦は東京にとどまらず常に旅をしています。中には長期滞在を行う時期もあります。この日記はまず大学院生の頃、韓国に客員教授として赴任した時代の記録からはじまります。当時の韓国は軍事独裁が続いており、四方田青年が在韓中に、朴正煕大統領が暗殺されて、全土が戒厳令下に敷かれます。そのような時期に、現地にいた日本人の数は限られるので貴重な記録となっています。

悩む人

「星とともに走る」には、四方田青年の20代から30代にかけての、悩みの記録が記されています。悩みの前にやることは、書物を読み映画を見ることです。これまでの記録、あるいはこれまでの記録をもとに編み出された表現物に対峙することで、新しい言葉を紡ごうとしているのです。何も面白いものはない、とうそぶく、絶望することのない、尽きることのない知的好奇心というのが、四方田犬彦の核心にあることがわかる一冊です。

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