働かないやつのおかげで世界は消滅の危機から救われている ※ただしアリに限る

働きたくないって言葉は悪であるという考え方がありますが、意外なことに働きもののイメージがあるアリの中にも働かないアリがいて、しかも働かないアリのおかげでアリの世界は成り立っていることをご存知でしょうか? 今回はなぜ働かないアリにも意義があるのか、その理由をご紹介します。


■アリのお仕事は外勤と内勤の2種類

まずアリの世界にも仕事があり、それを大きく分けると下記の2種類があります。

1. 食料(エサ、主に昆虫の死骸など)を見つけて運ぶこと
2. コロニーを守ること(女王の世話、卵の世話、巣の拡張や修繕など)

人間の目に映るのは巣の外だけなので、食料を運ぶことしか仕事がないように思ってしまいがちですが、巣を守る仕事も大事な役割です。特に卵の世話は短時間でも途切れると、次世代がいなくなりコロニーが全滅する危機に陥ることにもなりますので、組織を守る上では大事な仕事です。

■アリの7割は働いていない

童話「アリとキリギリス」や、働きアリという名称からも働きもののイメージがあるアリですが、意外にも巣の中を取り出して観察したところ、7割ものアリが働いていないことが判明しました。一匹一匹を取り出して検証してみたところ、働かないアリの中でも、生涯にわたって労働らしい労働をしないアリがいることも分かっています。

■働かないアリでも緊急事態では役に立つ

では働かないアリが働くときはいつでしょうか? それは緊急時です。アリの世界では、エサは探せば見つかるわけではありません。セミが死んで地面に落ちてきて、急にエサが現れることもあります。もしも突然エサが現れたときに、巣にいる全てのアリでエサを回収しに行ったらどうなるでしょうか? 巣の中で大切な卵を守る仕事をするアリがいなくなってしまいます。その緊急時に、余力を残している働かないアリが働きはじめます。つまり、緊急事態には働かないアリが役に立つのです。

■反応閾値が異なることで、コロニーは守られている

反応閾値とは、仕事に対する腰の軽さのことです。人間でいえば綺麗好きな人もいればそうでない人もいるように、アリの世界では固体によって反応閾値がそれぞれ異なります。反応閾値が低いアリが、ちょっとした空腹などの小さな刺激で動きだす「働くアリ」のことです。もしも反応閾値に固体差がなかったら、みんな同じタイミングでエサを取りに行くことになります。そうなると、コロニーを守る仕事をするアリがいないため、全滅の危機になってしまいます。反応閾値に固体差があるからこそ、コロニー全体では臨機応変に動くことができています。

■働かないアリがいることで、アリの世界は消滅の危機から救われている

全てのアリが「反応閾値が同じ場合」と「反応閾値が異なる場合」の2つをシミュレーションしたところ、労働効率は「反応閾値が同じ場合」の方が大きいということが分かりました。ただし、一定時間働かないとコロニーが死滅するという条件を加えると、「反応閾値が異なる場合」の方が長い時間コロニーが存続したことも判明しました。「反応閾値が同じ場合」には、みんなが一斉に働くと、疲労がたまって働けなくなる時間帯がでてきます。短い時間であっても誰も働けない状態に陥ると、コロニーを守るという大切な仕事をするアリがいなくなるので全滅しやすくなるそうです。つまり、働かないアリがいる、一見非効率的なシステムの方が、巣全体を長く存続させることを考えたら重要だったことが分かってきたのです。

働かないアリにも、組織を長生きさせるためには重要な役割があります。なので働かない人を見つけても、緊急事態には役に立ち、組織を長く存続させるには必要なのだと思って責めないであげましょう。

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