動物と人間の関わりを知る

動物は、人間と深い関わりのある存在です。なによりも人間自体がひとつの動物であります。そんな動物と人間の歴史を知る良書として『紙の上の博物画:博物画』があります。シャーロット・スレイ著、堀口容子翻訳によりグラフィック社から出版されています。


何が描かれている

本書で取り上げられているものは博物画とよばれるものです。現在は、動物の姿を記録する手段は写真や映像ですが、それ以前は絵画が用いられていました。絵画は王様など地位の高い人物の肖像画を描く手段としても使われました。その後写真が登場したことによって、写実的な技法に基づかない、抽象画が発達したという歴史もあります。

自国と異国と

本書で取り上げられている博物画には、異国の生物と自国の生物、家畜、奇怪な生物と分類がなされています。現在ならば、外国の動物が、日本の動物園で見られることは珍しいことではありません。しかしながら、かつては海の向こう側にいる未知の生物であったのです。冒険の記録の結果としての博物画でもあったといえるでしょう。

家畜とペットと

さらに、家畜としての動物もいます。現在のような愛玩としてのペットばかりではありません。牛や馬は重たいモノや、人を乗せて運ぶための労働力として使われていました。そうした人間と動物の関わりをビジュアル的な資料をもって知ることができるのが本書の特徴です。

奇怪な生物とは何か

もうひとつ気になるものとしては奇怪な生物でしょう。これは、伝説上の生物ではなく、当時はなかなか見る機会のなかった深海魚や、あるいは昆虫をつぶさに観察した記録などが紹介されています。見た目はグロテスクですが、限られた手段の中で、当時の人々が見たものをきちっと記録しようとしていたことがわかります。いわば、人間の知識や記録手段の発達などを知るための手段でもあるといえるでしょう。

    
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