90年代とはどんな時代だったのか?

90年代というのは現在の地点からみればおよそ20年から30年ほど前になります。この時代に青春期を過ごした人は、40歳から50歳くらいになっているといえるでしょう。

近くて遠い時代

90年代は近くて遠い時代だといえます。現在に通じるインターネットが登場した時代でもありますし、携帯電話の普及もはじまりました。さらにテレビタレントなどは90年代の第一線にいた人が現在も活躍していますね。その分、それほど、あの時代との落差を感じにくいというのはあるでしょう。そんな90年代のある断片が記録された本として島田潤一郎の『90年代の若者たち』(岬書店)があります。

青春の記録

本書はひとり出版社の夏葉社を運営する著者の青春の記録です。大学へ入学し、商学部会計学科において公認会計士を目指して電卓を叩く日々を送る筆者ですが、ある日凧の糸が切れたようにやる気をなくしてしまいます。そこから次に目指したのが文学でした。ただ筆者は村上春樹の名前も知らないような文学の素人でした。そんな彼が一年の冬に文芸研究会のサークルの扉をたたくところからストーリーがはじまります。とはいっても、普通の大学の文芸サークルであり、日々文学論を闘わせたり、読書にはげむといった場所ではなく、部室にプレイステーションがあり、だらだらとゲームをやるような場所でした。これこそ90年代のありふれた風景であったともいえるでしょう。

音楽の時代

90年代はもうひとつ音楽の時代であったともいえますね。著者も、CDショップでアルバイトをしながら、部屋にCDコレクションを増やしてゆきます。自分の部屋に本やCDのコレクションを並べていくことも、90年代の風景のありふれた風景です。

作家を目指す

著者は大学を卒業後就職をしません。もともと書くことが好きだったのと地方に住みたい といった思いから全国の新聞社を受験しますが撃沈します。作家を目指してボロアパートに住み、時には沖縄に住みながら書き続けますが、そこでもうまくいかず紆余曲折があって30歳を過ぎてから出版社を立ち上げます。著者を作り上げる要素がつまった作品だといえます。