ファッションと社会学の関係

普段私たちが何気なく気にかけているファッションは、社会の変化と切っても切れない存在です。社会に生起するあらゆる対象を研究する社会学においても、ファッションは研究対象となっています。そんなに身近なものが研究テーマになるのかと思うかもしれませんが、藤田結子、成実弘至、辻泉の3名の研究者による『ファッションで社会学する』(有斐閣)では多彩なテーマが語られています。


何が研究されるのか

ファッション、特に過去のファッションを知るにあたって参考となる資料は雑誌です。その時々の流行を追うことはもちろん、服の値段やデザイン、あるいはモデルの顔立ちの変遷などをつぶさに観察できます。そこから導き出されるのはファッションは態度の表明であるとともに、総合的でクリエイティブな行為であるということでしょう。ファッションはトータルコーディネートが大事とされています。そうしたバランスの上に成り立つファッション像を雑誌はきちっとすくいあげているのです。もちろんこれが当時の流行とイコールではありませんが、ひとつの理想の形であったことは確かでしょう。

自分らしさの追求

また、ファッションは自分らしさを追求する、いわば個性の表現のツールとしても使われてきました。さらには男らしさ、女らしさ、あるいは双方の性を乗り越えるユニセックスな表現の手段でもあります。性とは別のベクトルで、違う何かになるコスプレも、表現としてのファッションのひとつの形であるといえるでしょう。

ファッションと都市

もうひとつの視点としては、ファッションと都市の結びつきです。都市に生まれる映画や音楽、文学などといったあらゆる流行文化とファッションは密接な結びつきを持っています。ストリートファッションなどは上から流行が発信されるものではない、アンダーグラウンドな表現であるといえるでしょう。こうして見るとファッションひとつとってもさまざまな視点があることがわかります。本書は、身近なトピックから思考を展開させたい人にとっておすすめの一冊です。

    
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