検閲の深みを知る本

検閲は表現の自由を侵すものとして、現在は日本国憲法で禁止されている行為です。しかしながら、戦前はあらゆる出版物が内務省によって検閲されていました。


検閲は奥深き世界?

検閲は恐ろしいもの、あるいは庶民を弾圧するもの、そうしたネガティブなイメージがつきまといます。しかし、あらゆる出版物を検閲するからこそ、その対象にはエロ本や漫画本も含まれていました。そのような検閲の奥深き世界を解き明かした本が辻田真佐憲による『空気の検閲:大日本帝国の表現規制』(光文社新書)です。

どんな検閲が行われていたのか?

本書は現在に残された史料から、検閲の実態を解き明かします。文字資料だけでも、その行間、背景にある世界を著者は丁寧に書き起こしています。検閲官の給料は安く、それに比して仕事量は膨大であり、現在ならばブラック企業といわれる場所だったといった知られざる話が浮かび上がってきます。さらに、検閲官とマスコミは対立関係ではなく一体化した癒着関係にあったといった読みもあるようです。そうした関係から登場するものといえば、忖度による自主規制、あるいは法外の手段を用いた非正規な検閲といったものも出てきます。こうした空気は現在にも通じるものがあるといえるでしょう。歴史とは遠い過去の出来事だけでなく、現在にも連綿と続くものである。そのような驚きの事実に出会える本であるといえるでしょう。

    
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