平成を対談でふりかえる

平成30年をふりかえる書籍や雑誌企画は多く出ていますが、その中でもとりわけ個性的な本が佐藤優と片山杜秀による『平成史』(小学館)です。最初の対談は2017年3月に行われ、それ以降8回にわたって行われた語りの記録です。


どこにいた?

平成というとさまざまなキーワードが出てきますが、ここに登場する2人は対照的な場所にいたと言えます。佐藤優はご存知の通り、ソ連大使館に勤務しモスクワにいました。その間、最新の話題からずれることのないように日本のバラエティ番組やテレビドラマなどのビデオテープが送られてきたので、常に目にしていたそうです。一方の片山杜秀は、大学院で政治思想史を研究するかたわら、映画や音楽などのライターとしての活動をはじめていました。バブルまっさかりの出版業界にいたのです。このような異なる立場にいた2人の対談から見えてくる平成史のトピックは非常に興味深いです。

あの事件事故も

さらには、平成30年を過ごした人間ならば記憶に新しい、2011年の東日本大震災の予兆は、1999年に茨城県東海村で起きたJCOの臨界事故にあるのではないか。現在の日本の右傾化は1992年のPKO法案成立からはじまったのではないかといった、説得力のある謎解きも行われています。ただ何年にあれがあった、これがあったという振り返りにとどまらない、深みに至る理解を得ることができる、平成史の決定版というべき一冊です。

    
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