サハリン残留日本人の姿を知る

北海道の北側にはサハリン島という巨大な島があります。現在は、島全体がロシアによって実効支配されていますが、1945年までは北緯50度より南の南樺太と呼ばれる地域は日本の領地でした。


帰れなかった人々

戦後、ほとんどの日本人は引き上げることができましたが、朝鮮人の人たちは残留を余儀なくされました。さらに彼らと結婚していた日本人の内、主として女性も残留することを選んだ人たちがいます。その北海道からわずか40キロほどしか離れていないにも関わらず、近くて遠い異国に暮らしてきた人たちの肖像に迫った本が後藤悠樹による『サハリンを忘れない 日本人残留者たちの見果てぬ故郷、永い記憶』(DU BOOKS)です。

交流をする人々

著者は1985年生まれであり、若い世代に属しています。本書で著者は、サハリンへ幾度も渡り、70代から80代の残留日本人たちの姿を追っていきます。そこではロシア語、朝鮮語、日本語の3ヶ国語が交わされます。それは、どのような言語環境下にサハリン残留日本人たちが置かれていたかを物語っているでしょう。彼らが日本へ帰国することもできたにもかかわらず、この場所にとどまった理由は何なのか。はっきりとした答えは本書にはありません。ただ、取材の過程で亡くなっていった人たちの姿が、文章とともにカメラマンをしている著者の手によって記録されています。どこか懐かしさを感じさせる写真が多くあり、著者の筆致もまた誠実さを感じさせるものになっています。

    
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