日本文化をつくりあげた「室町時代」が歴史で軽視されているのはなぜか?

「室町時代」ほど日本史で軽視されている時代はありません。武士の世を開いた鎌倉時代と、天下泰平を実現した信長・秀吉・家康の時代との谷間にあるイケテナイ時代というイメージが「室町時代」です。なぜ、日本文化をつくりあげた「室町時代」が歴史で軽視されているのはなぜでしょうか?


皇国史観による「室町時代」の軽視

室町時代は、戦前に支配的だった皇国史観と、江戸幕府による江戸史観のどちらからも攻撃されるため歴史上で軽視されています。戦前の皇国史観においては、室町は「逆臣」である足利氏が政権を取っていた時代のため悪い評価となっています。「正統王朝」である南朝に弓を引き、南北朝合一のときの約束を破った「極悪非道」の足利家の時代が「室町時代」なのです。京都の時代祭でも室町時代の出し物は長らくなかったほどです。ようやく最近になって当時の風俗行列が加わったものの、足利将軍はいまだもって登場できていないのが現状です。たしかに正統性ということでは南朝が有利です。しかし、どちらも万世一系の皇統に属し、もともと対等だったのですから、正統性の強さといっても相対的なものに過ぎません。それに、現在の皇室は北朝の系統であり、お公家さんたちも北朝についた人々の末裔なため、一方的に逆賊扱いするのは本当はおかしな話なのです。

江戸史観による「室町時代」の軽視

江戸史観の武士道的な価値観からみると、縄文時代、奈良時代、鎌倉時代といった荒々しく力強い文化こそ優れたものであって、弥生時代、平安時代、室町時代といった優しく洗練された文化は劣った文化だとする主張が多いのが事実です。これは、関東武士の論理といえます。しかし、日本文化が確立したのは室町時代です。茶道や華道、書院造り、日本料理などは「室町時代」以前には存在していないのです。日本文化の特色である、繊細さや四季折々の季節感を大切にする心は、弥生、平安、室町といった時代に育った文化なのです。

このように皇国史観と江戸史観による「室町時代」の軽視が、歴史において「室町時代」を軽視させた要因だったのです。

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