コミュニティ・アーカイブとは何か?

現在、多くのメディアが発達し、膨大な記録が生まれ続けています。新聞や雑誌といったマスメディアばかりではなく、個人が記録した写真、映像、文章などが無数にネット上に溢れています。これらの記録は、ひとつひとつは儚いものですが、時として生々しい現実も記録します。2011年3月11日に発生した東日本大震災などは、まさにその例にあてはまるでしょう。

コミュニティ・アーカイブとは

それらの無数の記録を、アーカイブとしてまとめて後世に残そうとする試みを記録したものが佐藤知久・甲斐賢治・北野央による『コミュニティ・アーカイブをつくろう!:せんだいメディアテーク「3がつ11にちをわすれないためにセンター」奮闘記』(晶文社)です。本書は、せんだいメディアテーク内に開設された「3がつ11にちをわすれないためにセンター」(通称はわすれン!)がどのように立ち上げられていったのか、その過程を記録したものです。このプロジェクトに参加した人々は専門家ばかりではなく、市民など一般の人も多数います。そこで復旧や復興のプロセスがどのように行われていったのかを記録するための手段として、映像、写真、音声、テキストなどあらゆるメディアが対象となりました。

記録活動とは何か?

本書で取り上げている内容は、震災からの人々の様子や復興の過程をつぶさに記録したものです。そこでは記録活動を通して、当事者性を獲得していった様子が記されています。被災体験者へのインタビューなど、被災者との触れ合いを通して、自分も意識的になるのです。そこに、マスメディアから与えられた情報ばかりではない、自分から記録し発信してゆくという情報の新たなベクトルが生じるのです。

地域社会の活性化

さらに本書では、こうした活動が地域社会の活性化へもつながっていった様子が記されています。記録とはただ積み重ねていくものではなく、活用されてこそ意味を成すものだという普遍的な価値を気づかせてくれる良書であると言えるでしょう。