映画「レ・ミゼラブル」で振り返るフランス史

今、大ヒット中のミュージカル映画「レ・ミゼラブル」。ジャン・バルジャン役のヒュー・ジャックマンを始め豪華俳優人が全て生歌で収録に臨んでいます。今回はジャン・バルジャンの仮釈放から死に至るまで、神の慈悲により生まれ変わり葛藤し続けた主人公の駆け抜けたフランスの時代背景を振り返ってみましょう。


■ジャン・バルジャンの釈放は「ワーテルローの戦い」敗戦期

ジャン・バルジャンが極貧生活に身を窶した姉に、たった1個のパンを盗んだだけで、トゥーロン刑務所に19年間も投獄されていた時代。フランスは革命などで対外戦争と内戦の最中強力なリーダーを求め、軍人のカリスマであるナポレオンがヨーロッパ諸国に遠征し、国を牽引していました。しかし、バルジャンが仮釈放された1815年に、ナポレオンは「ワーテルローの戦い」で敗れ、流刑されました。これにより百日天下は終わりを告げたことを復習しておきましょう。

■コゼットの養父となり逃げ回った、ブルボン復古王政時代

バルジャンが神の慈悲により善道に目覚め、出頭せずマドレーヌ市長として生まれ変わるも、ジャベール警部に見破られ執拗に追われる身となった時代。コゼットを引き取ったバルジャンが逃げ生きたフランスの背景は、ブルボン復古王政時代でした。ルイ18世の即位後の内閣は超王党派(ユルトラ)と呼ばれる穏健派であったにも拘らず、ルイ18世の弟アルトワ伯爵の次男ベリー公爵暗殺事件が起きるなど、国の中枢にあっても穏やかな日々は続かず、事件を契機として後に即位したシャルル10世が実権を掌握していくことになるのです。

■マリユスが闘ったパリの学生革命運動は「7月革命」の2年後

逃げ隠れる生活のコゼットが、街中で出会い、互いに惹かれ合った、パリの学生革命運動家マリユス。劇中での時は1830年に7月革命が起きて2年後との設定。農作物の不作と深刻な不況で労働者とブルジョア階級からの不満が高まり、民衆の築いたバリケードによる蜂起で王政は倒れました。しかし、その後即位したルイ・フィリップが始めた7月王政はブルジョアばかりを重視した政策を取り、貧民街で喘ぐ民衆からまたも怒りを買うことになったのです。この時代にマリユス達のような学生革命運動を起こす勇猛な青年が立ち上がっても遜色はないことが物語られています。

子どもの頃読んだ物語が鮮やかなミュージカル映画として現代に蘇り、またその子ども達へと読み継がれていく。不朽の名作からフランス史の勉強へ自発的にのめり込める、そんな押し付けがましくない教育の在り方を伝えられるオトナになりたいものですね。

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