若者たちのかつての格好は?

ある特定の時代を映画やドラマにするにあたって、欠かせない作業として時代考証があります。その時代にふさわしい格好や、レイアウトなどを整えてゆくのです。例えば1995年の世界を描こうと思った場合には、スマートフォンは存在していませんので、携帯電話やPHSといったものが通信機器として使われます。

なくなってしまう?

しかし、こうした時代考証の資料というのは、実はなかなか探すのが大変なのです。ファッション雑誌などはありますが、それはあくまでもメディアが提唱した流行のファッションという形であり、あくまでも当時の若者がそういう格好をしていたということとイコールではないからです。そのような時代考証の資料として貴重な一冊が小林泰彦による『イラスト・ルポの時代』(山と渓谷社)です。『平凡パンチ』に連載された世界の若者のイラストと文章に関するルポルタージュをまとめたものです。

どんな格好をしていた?

まだ外貨の持ち出し制限があった時代に、著者がアメリカや外国に渡り、現地の若者たちの姿を描いたものです。なぜ写真でないのかといえば、彼がイラストレーターであったためでしょう。また、当時のカメラは重いですから、それを抱えて歩くよりもスケッチブックを手にして、気楽に街を歩く方が効率的だったのではないでしょうか。きちっとした取材ではなく、街から街を渡り歩いてゆく「軽さ」が本書にはあると言えるでしょう。

政治の季節

さらに、本書の舞台となる1967年から1971年は世界的にも政治の季節と言われた時代です。ベトナム戦争の反戦運動なども世界各地で行われていました。そうした、時代の様子などもライトな文章とイラストで綴られています。ハンディな文庫本サイズとなっていますから、本書を片手に新しい旅に出るといったことをしてみても面白いかもしれませんね。