男性学とは何かを知る

世の中には女性の権利や立場を考える女性学という学問があります。それは男性社会からの抑圧があるという前提がそこにはあります。そこには男性らしさである、強さや、経済的な余裕、それにともなう地位や名誉といったものが求められます。しかしながら、すべての男性がそうしたものを得られるとは限りません。あまり良いことばではないのでしょうが「負け組」といったものに括られてしまう人たちがいます。さらに、そういった立場に追いやられてしまった人たちが、自分で自分を卑下して、あきらめてしまうといったこともひとつの問題だといえるかもしれません。そうした立場から男性をとらえる男性学という学問もあります。

何を考えるべき?

そうした男性学の研究者として知られるのが田中俊之による『男子が10代のうちに考えておきたいこと』(岩波ジュニア新書)です。本書は中高生、それもある程度の進学校へ通い、良い大学から良い会社へとエリートコースを期待されている人たちへ向けて書かれた本です。しかしながら、しっかりと男性学のエッセンスはそこに詰まっていますから、10代ではない人が読んだとしても、十分に深みを味わえる本だといえます。そこでは、男性の立場からどのように考えをめぐらせてゆけばいいのかが記されているといえるでしょう。

何が問題なのか?

本書は、若い人間であっても、まわりの環境、特に両親などの身内から、受けている無言のプレッシャーから、つい「男性らしさ」を求めてしまってはいないかと疑問を呈しています。男らしくあれ、というのは、何か強い励ましの言葉であるようでいて、かなり残酷な言葉でもあるでしょう。性的少数者の問題なども含めてそこには、多様性が求められるといえるでしょう。

新しい男子のありようは?

本書は日本の社会、特に長年にわたって、日本の経済の中心的な存在であり続けた、会社組織的なものから、どのように社会のありかたが転換をしているのかといったといったことが、歴史とともに解説がなされています。そこは、日本社会というのが、一朝一夕にできあがってきたわけではないとわかるでしょう。新しい男子のありかたについても記されています。