放射能とは何か?

福島第一原子力発電所の事故により放射能汚染問題が広範囲で発生しました。放射能は人体に多大な被害をもたらします。放射能とは何かということをあらためて紹介します。


そもそも、放射能とは何か?

原子力発電所は、原子炉のウラン燃料が核分裂する際に発生する熱を利用して発電しています。その熱が燃料の周りに流れている水を沸騰させ、そこでできた高温の水蒸気がタービンの羽根をつうじて発電機を回す仕組みです。

セシウムやヨウ素といった放射能(放射性物質)は、ウランが核分裂するときに副次的に生まれるものです。ウランの核分裂とは、ウラン原子が中性子線を受けて2つや3つに割れることです。そうすると新たに小さな原子となりますが、それらは形がいびつで、不安定です。「いびつで不安定な原子」が、きちんとした形の原子になろうとしながら、揺れ動いて、さまざまな放射線を出しはじめる、とされています。つまり、「放射線を出す能力(物質)が放射能」なのです。

放射能と放射線はどう違うのか?

電球と電気にたとえて説明すると、電球が放射能で、電球から出る光が放射線、と言うことができます。つまり、放射能とは「放射線を出す能力」のことです。放射線とは「高いエネルギーを持った電磁波や粒子」のことです。また、放射性物質とは「放射線を出す物質」のことで、これを放射能に含める場合もあります。

放射線には「α(アルファ)線」、「β(ベータ)線」、「γ(ガンマ)線」、「中性子線」といった種類があり、それぞれ異なる透過能力を持っています。透過能力が弱い放射線はα線で、これは大きな粒子(陽子と中性子が結合したヘリウム原子核)なので、紙1枚も透過することができません。β線は紙を透過できるものの、金属で止められます。普通の金属なら通り抜けられるγ線は、コンクリートで止められます。

最も透過能力が高い放射線は中性子線です。電気的に中性なので抵抗を受けず、ほとんどの物質の内部を透過していくと言われています。かつて開発が行われた中性子爆弾は、この性質を利用して、建物の透過から人間を狙うものでした。中性子が人体に豊富な水素にぶつかると、その水素をはじき飛ばして体の組織を傷つけるのです。

事故を起こした福島第一原発から放射能が飛散している状況は、スギ花粉の飛散と似ていますが、その放射能から出てくる放射線のなかには窓や壁を突き抜けてくるものもあるわけです。もしも放射性物質を体内に取り込んでしまうと、さらに危険です。体の中から放射線を浴びることになるからです。

「シーベルト」は、放射線の人体への影響を示す単位

放射能・放射線にかかわる単位で、よく使われているのが「シーベルト」と「ベクレル」です。「シーベルト」は、放射線の人体への影響を示す単位です。放射線が人体に当たったときの被曝量を示します。1ミリシーベルトは1000マイクロシーベルト、また1シーベルトは1000ミリシーベルトです。

「ベクレル」は、放射能の強さを測る単位

一方、「ベクレル」は、放射能の強さを測る単位です。放射性物質が1秒間に1回崩壊する(放射線を出す)量が1ベクレルとなります。 福島第一原発事故の後、多くの人がガイガーカウンターなどの放射線測定器でシーベルトを計るようになりました。「蓄積の被曝量が100ミリシーベルトを超えると発がん性が高まる」などと言われるために、シーベルトを危険度の目安にするケースが多いようです。

しかし、シーベルトは空間の放射線量(おもにγ線)をもとに示す単位です。放射性物質は空間だけにあるわけではないので、人体への影響を総合的にチェックするなら、ベクレルで表示されているものに対しても気をつけなければいけません。ベクレルは、どれだけの放射性物質が土地に沈着したかという絶対量や、食品などへの汚染度を見るときに使われています。もし、高いベクレルを示す食品を食べたりすると、内部被曝によって体内で放射線を浴びることになるかもしれず、シーベルトで示される被曝量が跳ね上がることになりかねません。

福島第一原子力発電所の事故問題から長い時間が経過しています。しかし、放射能による問題はまだ解決していません。放射能に対する知識を身につけて、自分の体を守りましょう。

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