大連とはなんだったのか

中国の大連は、遼東半島の先端に位置する都市です。この都市は19世紀にはロシアの租借地とされていましたが、その後日本によって占領されます。かつては満州国への入り口の都市として多くの日本人が住み、行き交った街でもあります。

実態を解き明かす

そのような大連の姿を浮かび上がらせたものが秦源治、劉建輝、仲万美子による『大連ところどころ:画像で辿る帝国のフロンティア』(晃洋書房)です。本書では文章だけではなく、地図や、絵葉書、写真といったビジュアル的な要素のある資料がふんだんに使われています。それによって当時の大連の姿が、視覚的に蘇ってくることでしょう。

都市の姿が浮かび上がる

他にも、本書で取り上げられているトピックはさまざまです。大連で発行されていた新聞や、市民に提供されていた映画や演劇などの娯楽、デパートや遊園地などの日本資本によるアミューズメント施設、あるいは大連に存在した野球リーグの存在など、人々の生活のすみずみにいたるまでが紹介されています。すでに戦前の記憶は遠いものとなっていますが、こうして並べられてみるだけでも、どこか懐かしい記憶が蘇ってくることがあるかもしれません。巻末の膨大な参考文献一覧からも、多くの人々が大連に関心を寄せていることがわかります。本書は、今後の大連の研究にも役立つことになるでしょう。