日本人と祀りの歴史を知る

日本人ならずとも人間は死んだらお墓に入るとされています。それでも、最近は海に骨を巻く散骨といったことも行われてきています。そもそもお墓とはどのようなものなのか。どういった歴史があるのか。そうした問いかけに応えてくれる本が武光誠による『日本人は先祖をどう祀ってきたか:先祖供養の原点と歴史を読み解く』(河出書房新社)です。


向き合い方

本書は、そもそも現在のお墓や祀りのシステムが明治維新以降にできあがった近代的なものであるという説明からはじまります。明治時代のはじめには、神道を重視するあまりに仏教に弾圧を加えた廃仏毀釈もありました。しかしながら、それまで伝統的に祀られてきたお寺にあるお墓という伝統は分けがたいものだったのです。それによって神道の信者と、仏教のお寺が奇妙に共存するようになったのが近代以降の日本の寺社仏閣事情だと言えるでしょう。

もっと昔はどうだった?

ならば、それよりもさかのぼった時代ではどうだったのでしょうか。日本人の形がおおよそできあがったといわれる縄文時代、弥生時代の人々は、先祖を神様と捉えており、それは自然と一体化したものでした。それがどのように変わっていくのか。古代の仏教信仰は、神様からより具体的な仏様となっていきます。仏教伝来がひとつの大きなターニングポイントであったのは事実でしょう。それでもお墓は誰しもに用意されるものではありませんでした。室町時代までは武士や貴族などのお墓はあっても庶民にはありませんでしたが、それが江戸時代になるにしたがって浸透してゆくのです。こうした流れがグラデーションでわかる面白い本です。

    
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