「平成ボーダー文化論」を読む

阿部嘉昭による最新作「平成ボーダー文化論」はかなり濃厚な一冊です。阿部嘉昭は、もともと映画雑誌の編集者としてキャリアをスタートさせ、その後フリーの評論家となります。映画を主軸としながらも、音楽、文学、社会状況など、あらゆる分野にわたって幅広く評論活動を行います。そのフォロー範囲はいわゆるサブカルチャー全般におよびます。


下位文化を考える

サブカルチャーというのはメインカルチャーに対して生まれるものです。若者が多く受容していることから、ユースカルチャーとも呼ばれます。若者が受容する通り、何らかの対抗意識を持った作品も多くあります。それゆえにカウンターカルチャーとも親和性が高いものです。阿部嘉昭も、サブカルチャーがはらんでいる、カウンター性をきちっとすくいあげています。冒頭には、昭和から平成へ移り変わった年、1989年に関する小論が記されています。天皇崩御による特別編成番組によるレンタルビデオ店の盛況ぶり、宮崎勤事件など、その年にあったことが星座のごとく散りばめられ、結び付けられています。

強引さの魅力

これは語弊のある言い方かもしれませんが、阿部嘉昭はあらゆる物事を結びつけることに長けています。それは一見関係のなさそうなものを強引に結びつけるようなものもあります。しかし、同時代に存在していたことは確かなので、なんらかのつながりがあることは確かなのです。阿部嘉昭の射程の広さゆえに、あらゆる物事が結び付けられるのだとも言えるでしょう。

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