村上龍「69」の世界

本格的な夏が近づいてきています。夏にまつわる物語を読みたいという人も多いでしょう。そんな人たちにおすすめなのが、村上龍「69」です。


アツい時代

村上龍「69」は、彼の高校時代の自伝的な小説です。学校をバリケード封鎖し、警察につかまった少年が、街の高校生たちをたばねてフェスティバルを行うまでの話を、疾走感のある文体で記しています。学校教育に不満がありつつ、表現欲があふれている高校生の姿は誰もが共感するところがあるでしょう。主人公たちは、アンダーグラウンド映画を一本も見たことがないのに、美術雑誌などで眺めた海外の前衛芸術の世界に憧れています。根拠はないのですが自信がある、これも若者の衝動ではないでしょうか。

すべてはモテるため?

さらに、主人公の少年は女の子にモテるために、カッコつけるために政治だの文学だのを語り出します。現在ならば、ただの古くさい人、オタクとなってしまうタイプでしょうが、かつては、前衛的、芸術的、文学的であることがクールとされた時代があったのです。いろいろと理屈をつけつつも、モテを求める姿勢は、若者特有の背伸びでもありますが、ほほえましいものもあります。

キーワードが豊富

さらに「69」はジミ・ヘンドリックス、ジャニス・ジョプリンをはじめ、当時の文化的なキーワードが多く出てきます。サルトル、大江健三郎、ジュネといった文学者の名前も出てきます。この作品をきっかけとして、これらのサブカルチャーに触れていくのもよいでしょう。youtubeなどで断片的に触れるのではなく、当時の文化論、社会論、状況論をふまえて触れていくとまた違った味わいがあるかもしれません。

夏のシーズンに読みたい小説として村上龍「69」がおすすめです。本作品は映画化もされていますが原作とはアレンジがかなり異なるので、両方に触れてみるのも良いかもしれません。

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