植草甚一の世界を知る

植草甚一は、音楽、映画、文学とサブカルチャー全般を幅広く愛したおじいさんとして知られています。今でいう文化系人間の元祖とも言えるでしょう。そんな植草甚一の世界の一端を垣間見ることができる本が『植草甚一コラージュ日記』(平凡社)です。


手書きの文字

本シリーズは『植草甚一スクラップブック』シリーズの月報用に寄せられた文章を編集したものです。東京編のほか、ニューヨーク編が存在します。本書の特徴は、すべて手書きで記されているところでしょう。手書きといっても植草甚一の文字はペン字で丁寧に記されていますので、とても読みやすいです。本人の雰囲気を感じ取ってもらうために手書きの文字が用意されたのでしょう。

興味のおもむくまま

植草甚一は、散歩好きとしても知られました。散歩の途中で古本屋やレコードショップに立ち寄り、ちょっとした買い物をするのも好きだったようです。そのため、部屋にはそうして買い集めたもので溢れており、人一人が寝転がるスペースがあるだけだったようです。それでも、本やレコードの山に埋もれている姿は幸せそうでもあります。

晩年の記録

植草甚一は1979年に71歳で亡くなっていますが、現在まで通じる知名度を得たのは実は60歳を過ぎてからと言われています。それまではジャズやミステリーの評論家として、知る人ぞ知る存在でした。さらに、容姿も現在の誰もが知るところの飄々とした洒脱なおじいさんというわけではなく、ずんぐりと太った昭和の成金男性のような体型をしていました。病気をして痩せたことで現在の姿になったようです。植草甚一その人の人生の変化を感じ取れる書物として最適であると言えるのではないでしょうか。文化系の生き方を志向する人たちにとってはぜひとも読んでもらいたい日記であるかもしれません。

    
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