日本社会の仕組みを知る

日本というのはどのようにしてできあがってきたのでしょうか。特に近代というものの形は、最初からできあがっていたわけではなく、後付で作られてきたものです。もちろん、トライアンドエラーを繰り返して現在の形に落ち着いてきたと言えるでしょう。一方で、年金問題などは、労働者人口が多く、お年寄りが少ないといった人口ピラミッドであったからこそ成り立っていた制度であり、その限界が今、露呈しつつあり、何かしらの緊急の対策が求められるといったこともあります。

仕組みを考える

日本がどのように成り立ってきたのかについて考察した本が小熊英二による『日本社会のしくみ:雇用・教育・福祉の歴史社会学』(講談社現代新書)です。著者は、膨大な資料を駆使して、日本の近代社会や、台湾や朝鮮を植民地化し日本人の範囲を拡大していく歴史をあきらかにした人物です。そこにおいて使われる資料は、何も知られざる極秘資料といったものではありません。新聞や雑誌記事など当たり前にあるものを、すべて目を通し、あらためて歴史の実態を浮き彫りにしようとするものです。

当たり前に疑問を持つ

日本は、誰もが終身雇用をされて、教育を受けられて、手厚い福祉の恩恵を受けられる。今はそうした前提は崩れつつありますが、かつてならば、そうした社会が保証されていました。さらに、これらは無意識のうちに、女性や外国人といった立場におかれる人々を無視してきました。男性が家庭を主体として支えることで、社会がまわっていったといったものですね。さらに、多くは都市に仕事や人口が集中していった経緯もあり、その傾向はいまだに続いています。批判的な検証や、改革を目指す前に、これらの仕組みはどのようにできあがってきたのかについて知ることは重要な作業ではあるでしょう。厚みのある本ではありますが決して難しいことは書かれていません。興味がある人は手にとって見ると良いでしょう。