エンブレム問題を問い直す

2015年に発表された東京オリンピック、パラリンピックのエンブレムがパクリであるか否かといったエンブレム問題は記憶に新しいでしょう。なぜ、こうした問題が起きてしまったのか。その問いに向き合った本が加島卓による『オリンピック・デザイン・マーケティング: エンブレム問題からオープンデザインヘ』(河出書房新社)です。


広告史の観点からとらえる

著者はメディア論や広告史の研究をしている人物です。エンブレム問題は、2020年の東京オリンピックばかりではなく、かつてから繰り返してきたものでした。1964年に開かれた最初の東京オリンピックから、1972年の札幌冬季オリンピック、1998年の長野冬季オリンピックなどで繰り返されてきた、いつものメンバーによる出来レースとも疑われるようなエンブレム選考の経過がていねいに追われています。本書を読めば、こうした問題は、今回の件で突出したのではないことがわかります。むしろインターネットの集合知によって、エンブレム問題の本質が暴かれたともいえるかもしれません。

あるべきデザインの形

本書では、今後のエンブレム問題を含めたデザインはどうあるべきか、その広い視点に立って提言がなされています。これは、単に一人のクリエイターの資質を問う問題ではなく、広告産業や引いては日本社会がどうあるべきかを問いかけた本でもあるでしょう。

    
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