柳美里はなぜ原稿料不払いを告発したか?

作家の柳美里さんが、雑誌「創」の連載の原稿料が未払いであることを告発して話題となりました。編集長とのやりとりのメールの一部をブログで公開もしています。その中で明らかになったのは出版界の古き慣習体制というべきものでしょう。


契約書を交わさない

執筆者は雑誌に原稿料を書くことで、対価として原稿料を受け取ります。これは商業活動なのですが、出版界において、記事の執筆に関して契約書が交わされることはありません。例えば書いていた小説が映画化されたり、ドラマ化されたりする場合などに、そのロイヤリティの支払いの割合などに関しては契約書が存在します。漫画家ならば、自分の作品のキャラクターグッズが作られたり、アニメ化される場合などにも同様でしょう。

しかし雑誌の記事の場合は、契約書はなく、基本的には編集者との口約束である場合がほとんどです。そのため最初は2万円と言われていた原稿料があとで1万円になっていたりといったことも珍しくありません。しかし、そこで騒ぎ立てると立場の弱いライターの場合は次回から仕事が来なくなるのではないかと考えて泣き寝入りしてしまうこともしばしばです。一方で細かい文章の発注ひとつひとつに契約書を作っていたならば手続きがとても面倒になってしまいます。最終的には書き手と編集者の信頼関係次第に委ねられているのです。

文筆一本で食う

ブログで本人も書かれていましたが柳美里さんは文筆だけで生計を立てている珍しい作家です。もちろん時々で講演会などは引き受けているのでしょうが基本は文筆のみです。作家というのはある程度知名度が高くなると、講演会を数多くこなしたり、テレビのコメンテーターとして出演したり、あるいは大学や専門学校で教鞭を取ることもあります。学校の先生となった場合、専任教員になればサラリーマンと一緒で毎月一定の収入がもらえます。そうして安定的な脇道を選択せず文筆一本で暮らしている柳美里さんだからこそ、今回の未払い告発は衝撃を与えたのでしょう。

その後、未払い原稿料は支払われたようです。

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