藤原紀香や春香クリスティーンも問題視! 「特定秘密保護法」公布後に市民はなにができるのか?

女優の藤原紀香さんや政治通タレントの春香クリスティーンさんも問題視している特定秘密保護法案。日本の国家安全保障に関する機密情報を漏洩した公務員や民間人を処罰する同法案が、2013年12月6日深夜の参議院本会議で、与党自民、公明両党の賛成多数により可決、成立しました。

この日、東京都日比谷野外音楽堂で抗議集会が行われ、市民ら約1万5千人が参加していました。にも拘わらず、ねじれを解消した「数」にものを言わせる与党の法制化を止めることができなかったのです。

そして13日に同法案は公布されました。しかし、公布されてもそれで終わりではありません。ジャーナリストの堤未果さんも「選挙区の議員に直接声を届ける、対案を出すなど方法はまだいくつか残されている」と「婦人公論(2013.12.7号)」のインタビューに答えています。「一番の敵は無関心」だと。

今回は私たち一人一人の市民にこれからなにができるのか、考えていきましょう。


今からでも知ろう!藤原紀香、宮崎駿ら著名人も法案の問題点を指摘

特定秘密保護法案に関する、ある街頭シール投票では、集計者数689名中、「反対」票342名とほぼ並んで、「わからない」票が310名という結果が出ていました。「1万5千人抗議集会」に集ったような高い問題意識を今まで持っていなかった読者の方も、まだいらっしゃるかもしれません。そこで、そもそも本法案のなにが問題なのか、著名人の発言から考えてみましょう。

女優の藤原紀香さんは9月早々にオフィシャルブログの「秘密保全法って?」で

「原発の問題や放射能の問題は、国民が知るべきことだと思うので、その国家機密にあたる範囲がどこまでなのか、曖昧なのが問題なのだと思います。」
「国民は知る権利があると思います。」

と綴っています。藤原紀香さんは社会情勢に広範なアンテナをいつも張っておられる方だと筆者は認識しています。藤原さんは、かねてから途上国の被災地で写真を撮り溜めて支援を行うなど国際開発協力に力を注いできました。

ネット上では偽善などと邪推のコメントも散見されますが、実際は本業の女優業で稼いだお金を自己資金に、ビジネスではなく個展を開いて寄付を募るなどボランティア活動に情熱をもった国際貢献をされています。

また政治通タレントとして知られる春香クリスティーンさんも朝日新聞デジタルのインタビュー「(秘密保護法案)なぜ急ぐの」(2013年12月1日)に、「法案を読んでみても不明瞭な点を国会に行って直接疑問をぶつけてきた」ことを発言。「自民党や民主党の国会議員に詳しく説明してもらいました。でも、疑問は解けていません。」と語っています。

若手女性芸能人からも指摘される法案の「情報漏洩の機密指定の基準の曖昧さ」に起因して、「審議が十分に尽くされていないのに強行採決される」という問題意識で、市民運動家たちによる大抗議集会が行われていました。

同法で「特定秘密」の対象として規定されているのは、「防衛」「外交」「特定有害活動の防止」「テロリズムの防止」に関する機密情報。

これに付随する問題として、新聞、テレビなどの大手メディアや作家らはマスメディアの報道統制や市民の「知る権利」に応えられなくなる言論封殺になると、一斉に反対声明を表明してきました。それだけではありません。映画監督の宮崎駿さん、是枝裕和さんらも12月3日に「特定秘密保護法案に反対する映画人の会」を結成して「『表現の自由』を脅かす」「東アジアの平和のために日本は自由な国でいなければならない」と呼びかけたのです。(「スポニチ・アネックス」2013年12月3日)

しかし、防衛や外交、テロなどの「軍事機密」と言ったって、自分には関係ないのでは?と思う方もいるかもしれません。実はそれこそが「法の拡大解釈を招く」特定秘密保護法案という欠陥法の抜け道なのです。第二項で詳述していきます。

あなたも無関係ではないかも?法案公布後も時事論評のブロガーは萎縮しないで

同法案とは一見、全くの無関係と思われがちな医師や歴史学者、さらには工場労働者までもが罰せられる可能性が否定できない法案になっているのがこの法案の質の悪さです。歴史学者や工場労働者に関してはWEB媒体BLOGOSに詳細を譲るとして、ここで取りあげるのは、同法案に反対声明をいち早く表明した全国保険医団体連合会について。
同会は医師と歯科医師によって構成されており、非核平和部が常設され、国内外問わず戦争行為に顕著な問題意識をもってコミットし続けてきています。

これまでもシリアの化学兵器問題、3.11の原発問題、日中関係などを取り上げ、「命を守る、命を救う」という医師としての第一原則に則った社会啓発を実践。

今回の特定秘密保護法案に対しても、非核平和部担当事務局は次のように指摘していました。「医師の診察時の患者の方の中に、自衛隊や、テロリストと見なされるかもしれないイスラム教徒など、国家安全保障に関わる方がいた場合を想定しています。医師が診察中のやりとりの中で知り得た軍事機密に関わる情報が原因で、同法案が公布、施行後に罰せられたり、反対に医師が知り得た患者のプライベートな情報を、国が開示せよと医師に強制する危険性があります。」と医療従事者と同法案との関連性を分かりやすく解説。

これは「適性評価制度」という同法案に規定された「特定秘密」を取り扱う人のプライバシーを調査し、管理するという問題です。同会は12月9日に改めて抗議声明でこの問題を取り上げ、警鐘を鳴らしています。「えっ医師の診察を受けるために病院に行く患者までもが関係あるの?」となると、このように一見関係ないように思える分野の市民生活と密接した関係者が処罰される懸念があるため、ごく一般の市民生活の問題として考えざるを得なくなってくるのではないでしょうか。

さらに、ネット配信されている記事の読者ならば、日頃FacebookやGoogle+などのSNSに投稿したり、ブログを書くことを習慣にしている方もいらっしゃるでしょう。分野にもよりますが、このブロガー、中でも時事論評を主たるテーマとして書く1万人以上の読者数を誇るブロガーは本法案の処罰対象に十分に絡んできます。

なぜなら、海外の事例でシリアの時事論評に鋭く切り込んだシリア人の17歳の女子学生ブロガー タル・アル・マロウヒさんが外国のスパイ容疑の罪で2009年に逮捕され、2年間投獄された事例も実際にあるからです。

マロウヒさんはこの時、50年にも及ぶバース党の管理下に置かれてきたシリアの未来に鋭く切り込み、憂いた内容の記事を自身のブログに綴っていました。また、バラク・オバマ米大統領にパレスチナ問題の解決へ繋がる支援をもっとしてほしいと要請したのです。この一件で「外国への情報漏洩」という処罰が下され、マロウヒさんはスパイ容疑で逮捕、起訴されてしまったのです。

無論、ここは今秋まで化学兵器問題で揉めていた軍事独裁政権のシリアではなく、日本です。しかし、有権者が選択したとはいえ、今日本は与党の独裁政治がカマをもたげ始めた様相ではないでしょうか。全ては安倍首相の掲げた「積極的平和主義」の名の下に、「武器輸出三原則見直し」「国防軍」「国家安全保障会議」とセットで出されてきた「特定秘密保護法案」に至るまで軍事立法国へ突き進むようなフルコースに思えます。

だからこそ、あなたも無関係ではないかもしれない。けれども、時事論評を書くブロガーのみなさまには政治権力に過剰萎縮せず、言論の自由を貫徹してほしい、と筆者は自戒も込めて切に願います。

単に「第三者機関」という言葉で議論をするだけでは不十分

12月13日に公布された特定秘密保護法。十分な審議を尽くさず、猛反対の民意を無視してまでの強行採決を急いだ安倍政権動勢の裏には、米国とあらかじめ年内立法化の密約を交わしていたとの報道も一部見られます。しかし前述の堤未果さんの言葉を繰り返せば、「対案を出すなど方法はまだいくつか残されている」のです。私たち市民は敗北を叫ぶのではなく、次になにができるのかを考えるべきではないのでしょうか。

上記同日付けで政府は、秘密指定・解除の統一基準策定や監視機関の設置に向けた「情報保全監察準備室」を内閣官房に発足させました。

これは12月4日に安倍首相が「特定秘密」の指定の妥当性をチェックする新たな機関について、「アメリカの『省庁間上訴委員会』を参考に、閣議決定により、内閣官房に、事務次官級を中核とする『保全監視委員会』を法律の施行までに設置する。」と述べるとともに、官房長官や官房副長官もこれに加わるという考えを示していた国会答弁。

また、「『独立公文書管理監』を設けて、『特定秘密』が記載された公文書が勝手に廃棄されないよう、3重のチェックをしていく」と伝えていた意向を具現化し始めたものです。

しかし、米国の「情報保全監察局(ISOO: Information Security Oversight Office)」や英国の「議会情報安全保障委員会(ISC: intelligence and security committee of Parliament)」、仏国の「国防秘密査問委員会(CCSDN: Commission consultative du secret de la défense)」など諸先進国の情報保全法の先例において、いずれと比べても日本の内閣府に設置される運びとなった「保全監視委員会」や、それを取り扱う「独立公文書監察官」は、政府から完全に独立した監視機能を持つ第三者機関と呼べるような代物とは言えません。

この論議について、「単に『第三者機関』という言葉にこだわって議論しても、接点のないものになりかねない」とNPO情報公開クリアリングハウスの三木由希子理事は警鐘を鳴らします。

「諸外国が(先進的に)学び取ってきたものを踏まえて日本も法整備に取り入れるべきです。各国のスタート時点に戻って日本もこれから作ればいいということではありません。少なくとも冷戦期を経て、秘密が増え過ぎた結果、政府のアカウンタビリティの問題や、行政の非効率という問題が出てきているからです。まず、記録の管理と情報の管理が先でしょうと。スタンダードやガイドラインのようなものが何もない、基準作りもなるべく情報公開してもらわないと当然困ります。

有識者が検討するからいいでしょう、とこれから作っていくという内容があまりにも多い。そこで『独立した第三者機関』だけを見て、議論しても実際機能しない。総体的に見て、話をしていかなければならないと思っています。」

また三木氏は、「同法施行令の立案プロセスは施行令ができるまで政府は情報公開していないため、国会議員の役割が非常に重要です。」と指摘。今、江田憲司前幹事長を中心にみんなの党を離党して年内に新党「結いの党」を立ち上げ、野党再編の動きを加速させている野党議員に目を向けることも重要なようです。

日本に秘密保護の国際標準である「ツワネ原則」を普及させた「秘密保護法」廃止へ!実行委員会の海渡雄一弁護士は、「1925年に治安維持法が国会で成立した時も、野党議員は強く反対し、強行成立だった」ことを挙げ、「この歴史を繰り返さないために身近な家族や友人と話し合うこと、誰が賛成し、誰が反対したかの一覧表が東京新聞や週刊朝日に掲載されています。

これをクリアファイルに入れて持ち歩き、国会議員のことが話題になったら、『その人は秘密保護法』に賛成した人だから、次の選挙では絶対に投票してはダメだ』などと話題にすることもできると思います。」と言う。

そして「なによりも、いけないことは、『秘密保護法が成立したから、やばいことには関わらないようにしておく方が安全だ』などと考えてしまうことです。これが『表現の自由に対する萎縮効果』です。これこそが、この法律の狙いであり、民主主義の崩壊の始まりです。いままで以上に政治の動向に関心を持ち、自分の意見をブログやFacebookなどに書いていくことが大切です。」とコメントを寄せました。

私たち一人一人の市民や問題意識を持つ各界の人々が声をあげ、無関心を興味に変えてまずは、TwitterやSNSなど身近な情報発信ツールを使って知り得た情報を拡散するなど、できることから行動する。それが野党議員に対案を考えさせるきっかけとなる声となって届けられ、政策提言へとつながる。私たち市民一人一人が、日本の特定秘密保護法案をきちんと監視できる社会を作っていくのはこれからかもしれません。

いかがでしたか?特定秘密保護法案に既に先鋭的な問題意識を抱いている読者の方がいらしたら、そんなことは当たり前だと少し物足りなかったかもしれません。ですが、「分からない」で終わらせない日本という国に住む若い市井の在り方。「知らないバカなやつが悪い」と知的エリートの方々が切り捨てる前に、もっと分からし得るべき言葉で私たちにも教えてほしい。ビーカイブでは、そんな柔らかさと真摯さを相持った伝え方をしていきたいと筆者は心掛けていきます。

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