事例から憲法を考える

日本国憲法は大切なものとされています。それは確かにそうで、憲法には私たち国民から国家への要請が明記されています。法律と憲法の関係を考えれば、憲法は国民が守るものではなく、国民が国家に守らせているものであるのです。国家は憲法の範囲内において法律を制定します。その法律が憲法違反の要素があるかどうかは、裁判所によって判断されます。


身近な事例から考える

それでも憲法は私たちにとって身近なものとは言いがたく、遠い存在です。しかしながら、事例として出されれば、理解することができるでしょう。そんな憲法を事例によって開設した本が松本和彦による『事例問題から考える憲法』 (法学教室ライブラリィ) です。本書は、憲法の学習として司法試験の受験者などに向けた法律書です。しかし、専門書でありながらライトな構成となっていますので、シンプルに憲法に興味がある人でも十分理解できる内容となっています。

50音順に整理

本書では、50音順にさまざまな憲法に関わる事例が整理されています。これからの時代、議論のテーマとなりそうなものも多くあります。まず取り上げられているのは「インターネット選挙運動の規制」です。ネット選挙運動は一部解禁されていますが、制約も多くあります。明治時代から続いている公職選挙法との兼ね合いも気になるところでしょう。さらには「国民健康保険料の強制徴収」は憲法学として妥当性があるのかどうか、といったところも気になるところでしょう。その他にも、「宿舎ドアポストへのビラ配布」など、実際に逮捕者が出た事例が取り上げられています。憲法判例というと解釈を積み上げていく抽象的な議論というイメージが強いかもしれませんが、このような事実に即した問いかけもあるのです。憲法や現代社会に興味がある人にとって、非常におすすめの本だと言えます。法律の本はなんだか堅苦しくて苦手だという人にも手に取ってらいたいですね。

    
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