核廃絶を掲げながら核を求めていたアンビバレンスな日本

「脱原発」や「反原発」が叫ばれている中、正しく事実や歴史を認識している人がどれだけいるのでしょうか。先日の反原発デモでは約5万人が集まったそうです。今回は「核」に関する本を紹介します。本書は「NHKスペシャル」取材班によるドキメンタリーで、「核」という大きな括りで書かれた本です。マスコミの偏向報道を批判する前に是非、読んでもらいたい1冊です。


1. 「感情論では語れない」

国際政治の場は感情論で物事を語ることはできません。時はNPT(核拡散防止条約)が議論されている1960年代。条約締結の時に最先端で働く人たちには広島、長崎の人がどう考えているかそれほど重視しません。というのは国家戦略との兼ね合いもあるからです。科学力のあるドイツと日本を縛るためのNPT、それを断ることは、当時の日本にとって難しかったようです。

2. 「核兵器があっても意味のない世界」

NPTを受け、当時の西ドイツ外務省政策部長はこう言いました。

「これからの我々の仕事は、核兵器を持っていてもその意味がないというような国際政治の基本をつくり替えていくほかないです。」

果たして、日本はそのような世界をつくることに向かっているのでしょうか。NPTが国連に採択されたのは1963年のことです。

3. 「非核三原則を国際社会に呼びかける一文が削除された理由」

1950年代に考えられた非核三原則、それについて1974年のノーベル平和賞授賞式で佐藤栄作元総理がスピーチを行いました。しかし、その際に削除された文があります。

「世界の各国が日本にならって非核三原則を採用することはもとより日本国民が心から希求し期待する。」

日本を守ってくれているアメリカの「核の傘」への配慮が理由です。

4. 「西ドイツ外務省政策部長だった方からのメッセージ」

「私たちは『核兵器のない世界』に進むべきだと心から思っています。それには相当の時間がかかることはわかっていますし、私が生きているうちは実現しないでしょう。長い道のりですが、最初の一歩を進めなければなりません。私たちはそうするつもりです。」

核廃絶を掲げながら核の力を求め続けていた日本。この矛盾と私たちはどう向き合ってきたのかが書かれている本です。

『”核”を求めた日本 被爆国の知られざる真実(光文社)』の詳細を調べる

    
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