今、注目される! NPOライター育成講座とクラウドファンディング

6月29日、CSRコンサルタントの安藤光展氏が今回で第三回目となる、NPOライター育成講座「Writing for Good」を主催しました。ゲスト講師はNPO情報マガジン「テントセンMagazine」、途上国情報サイト「トジョウエンジン」編集長の佐藤慶一氏と、エシカル情報メディア「Huglobe!(はぐろぶ)」編集長の齋藤実央氏。SNSが浸透した現代に、個人とNPO業界から、「興味関心の潜在層をいかに取り込むか」情報収集のメディア戦略を約20人の参加者に伝授しました。


半年で閲覧者10万人達成!学生編集長 佐藤慶一氏の戦略

現役大学生でありながら、出版社のフリー契約編集者として勤務している佐藤慶一氏は、自らが立ち上げた「テントセンMagazine」、「トジョウエンジン」編集長を兼務しています。無償で情報発信を行うNPO組織のメディアです。海外に5〜6名、国内に10名以上のライターを抱えるのに対し、編集担当は2名という重責の中、佐藤氏は1日3本記事を書いて発信。半年で10万人の閲覧者を獲得することに成功しました。しかし、「5万団体、100万人以上が働いていても、NPO業界の情報はなかなか伝わりにくい。潜在的なファンを増やすこと、そして可視化する必要性がある」。そんな問題意識を持っているからこそ、今回のプレゼンに意義を感じていたようです。

①NPOとして独自WEBメディアを持つ
②アジェンダセッティング(議題設定)の必要性
③イシューマーケティング(議題の認知向上)

この3条件を満たして「初めてスタート地点に立てる」と自身の編集キャリアで得たマスメディアの手法をオルタナティブメディアに関心のある既存、潜在発信者の学生やNPO関係者にコーチしました。

「かわいい!」のトレンドとNGO的課題をMIXして発信

「Huglobe!」編集長の齋藤実央氏はNGOに勤務しながら、個人でFacebookから記事を発信することを昨年7〜8月から始めました。齋藤氏が「とにかく毎日記事を量産した」結果、現在は700〜800人程度の読者数を得ました。「学生時代からNGOの活動に関わっていたからよく分かるのですが、NGOというと、どこか真面目な意識の高い人たちだけが狭い世界で奮闘しているというイメージを持たれていました。」と齋藤氏。「でも私は当時、ファッションショーを運営する団体にも関わっていて、女性らしく、自分の好きな『かわいい!』ものとMIXさせることで、NGO的な課題に関心のあまりない層の属性や個性で相手にアピールできるんじゃないかと思ったんです」とのこと。

そのために齋藤氏はターゲット層が同じで、コンテンツは全く異なるメディアにヒントが隠れていることに気づき、「かわいい」「女性受けする」の目線で、企業のプレスリリースやNPOの活動報告書を読むのと同時に、ファッション、ビューティー、恋愛ネタなどのトレンドを掴むことに腐心してきたそうです。これまで手掛けてきた記事から見えてくるのは、「『世界難民の日』日本に住んでいる難民の方々が活躍するネイルサロンでキャンペーン中」や、「手塚治虫×フェアトレード!異色コラボブランド計画に注目」などまさに興味関心の潜在層を取り込むフックとなるものがズラリ。その結果、「Huglobe!」は主に20代〜40代の圧倒的な女性層を獲得することに成功したのです。

脱寄付金依存!クラウドファンディングという新資金調達法

ゲスト講師の佐藤慶一氏も齋藤実央氏も一定の成功をおさめて走り始めたところですが、2人には共通する課題があります。それはNPOという組織からの発信でも、Facebookという個人からの発信でも収益が発生しておらず、全くの無償だということ。本講座の主催者であるCSRコンサルタントの安藤光展氏は「ブログを書くことは営業だ」という持論の主で、収入源の課題も見据えてまずは発信力を高めようと、将来性を見込んで、NPOライター育成講座を始めたそうです。佐藤氏は「将来的には資金面の問題をクリアして独自に確立したい」との思いがあるようですが、そもそも既存のNPOは運営に寄付金依存してきたのが実態であり、それこそが課題だといっても過言ではないでしょう。そこへ日本では約1年前に「クラウドファンディング」という新たな資金調達法が海外から導入されました。

「READY FOR?(レディフォー)」などが大手メディアでも取り上げられるようになり、一定の認知度は向上しましたが、All or Nothing。募集期間内に、無名の個人、NPO、著名人問わず企画したプロジェクトの目標金額が全額集まった場合のみ、プロジェクトを「成立」させるための資金を得ることができるという大原則が伝わっているだけで、その実体は実行者や参加した支援者というごく一部の層にしかまだまだ把握されていません。NPOの運営力を維持する根幹の課題を解決する新たなツールとして、まずは関心を高め、一人でも多くの人の行動へと繋げる必要性があるのではないでしょうか。

Facebookというツールを使った個人とNPOによる情報発信力強化講座の一部をお届けしましたが、いかがでしたか?この講座の意義、NPO/NGO業界の抱える課題という背景も伺い知れたのではないでしょうか。クラウドファンディングに関しては、次の機会に本稿を譲るとして、ここでは一例だけご紹介しておきます。NGO JIM NETは「READY FOR?(レディーフォー)」を利用して3.11の支援で石巻市に送って余っていた配給物資を、シリア難民支援に役立てるという「絆ぐるぐるプロジェクト」というプロジェクトの実績を残しています。興味を持たれたあなた。NPOライター育成講座の次回は8月を予定しているそうですから、この機会に足を運ばれてはいかがでしょうか?

    
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