DVでよくある質問

家族や恋人の問題であるDV。しかし、その実態は二人だけの見えない場所で行われていることが多く、DVに関する誤解が生まれてしまいます。今回は、DVの中でよくある質問を紹介します。


■彼は病気ではないのですか?

違います。彼は計算しているのです。妻をなぐっても、

「夫婦げんかだと言えば、誰も気にしないだろう。それに妻を教育するのは夫の仕事だ。「しつけ」のために叩いたのだ、だらしがないから叱ったのだと言えば、みんな信用するさ。会社でストレスが溜まっていたからと言えば、俺のほうが同情してもらえるだろう。」

世間が見逃してくれることをちゃんと計算して、彼は暴力を選んでいるのです。その証拠に、彼は会社ではおとなしくしています。同僚とけんかすることもありません。腹が立っても表に出さず、上手に付き合っています。ちゃんと自制ができるのです。病気だなんてウソなのです。もちろん、暴力をふるう男の中には、人格障害など「心の病気」にかかっている場合もありますが、「心の病気」が原因で暴力をふるっているのではありません。「心の病気」を持っていても、暴力をふるわない男性はたくさんいます。「暴力をふるわずにはいられない病気」など、めったにありません。本当にそんな病気にかかっていたら、いつでもどこでも凶暴にふるまわずにはいられないでしょう。本当にそうなら、入院して隔離しなければなりません。ところが、彼は他人に対してはおだやかで、あなたに対してだけ暴力をふるうのではありませんか?そんな都合のよい病気があるでしょうか?

■ついカッとして手が出ることは誰でもあるでしょう?

あなたは、カッとなるとすぐに手を出す人ですか?誰に対してもそうですか? いつでも、どこでも、カッとなると爆発していますか?そうではありません。職場では、爆発なんかしないでしょう。上司に文句を言われたり、同僚がヘマをしたり、職場でもカッとなることはいくらでもあります。

頭にくることばかりではないですか?

それでも、あなたは手を出しますか?

上司に怒鳴り返したり、同僚をぶったりしますか?

カッとしても、じっとガマンしていませんか?

心の中では怒りを爆発させても、それを態度に出すようなことはおさえています。あなたは、ちゃんと自分をおさえることができる人なのです。自制心のある人です。そして、職場では、自制心を働かせ、頭にくるようなことがあっても、暴れたりはしないのです。職場では、カッとなったからといって、すぐに手を出すようなことはありません。駅のホームでも、あなたは冷静ではないですか?足を踏まれたからといって、すぐに怒鳴ったりはしませんね。ぶつかってきた相手に平手打ちをしません。混雑がひどくてイライラしているときでも、隣りの人に八つ当たりしたりもしません。やはり、あなたは自制心をもっていて、イライラを爆発させたりはしないのです。

それなのに、なぜ彼女に対しては手を出すのですか?

なぜ彼女だと、すぐ怒鳴りつけるのですか?

カッとして自分をおさえられないから?

それはウソでしょう。職場や駅のホームでは、ちゃんと自分をおさえています。外では、自制心を働かせています。なぜ、同じことが、なぜ家ではできないのでしょうか?あなたは、上司や同僚に対しては、腹が立ってもガマンしています。騒いで上司に嫌われたら大変だからです。暴れて同僚に仲間はずれにされたら大変だからです。あなたは、自分をおさえないと大変なことになると思えば、自分をおさえられるのです。ところが、あなたは、彼女なら叩いてもいいと思っているのです。彼女なら怒鳴ってもいいと思っているのです。だから、自分をおさえようともせず、叩いたり怒鳴ったりするのです。あなたは、自分をおさえることができる人なのに、彼女に対しては、自分をおさえようとしないのです。彼女に対しては、自分をおさえなくていいと思っているのです。それで、彼女といるときは、自分をおさえないことを「選んで」いるのです。あなたは、暴力を「選んで」います。上司や同僚が相手だと、ガマンすることを選ぶのに、彼女が相手だと、あなたは暴力を選ぶのです。ガマンも選べたはずなのに、そうはせずに、暴力のほうを選んでいるのです。彼女が悪くても、暴力をふるってはいけない。このことを決して忘れないでください。暴力を正当化する言い訳は、何一つないということを。

■暴力の目的はコントロール

暴力をふるう男たちは、ただなぐったりけったりするのではなく、そうしながら、「俺に逆らうのか」とか、「なぜ俺の言うことが聞けないんだ」と怒鳴ります。そして、「俺にあやまれ」と迫ります。自分に逆らうことは罪というわけです。「あやまれ」ということは、罪を認めろということです。自分のほうが強いのをいいことに、家族に対して、「絶対に俺に逆らうな」というルールを押しつけようとしています。なぐったりけったりするのは、「絶対に俺に逆らうな」というルールがあるということを、妻や子どもに思い知らせるためです。なぐること、けることが目的なのではありません。そうではなくて、「逆らうと痛い目にあうぞ」ということを、文字通り骨身にしみるまで思い知らせるためなのです。暴力をふるう男たちは、なぐったりけったりした後で必ず、「どうだ、思い知ったか」とか「分かったか」と言うものです。

DVに関する正しい知識を付けて、DV問題が身近にあったら正しい知識を伝えれるようにしましょう。

「なぜ男は暴力を選ぶのか―ドメスティック・バイオレンス理解の初歩(沼崎 一郎)」の詳細を調べる

    
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