DV解決のポイント「介入」

多くのDV被害者にみられる特徴に「当事者性の不在」というポイントがあります。「わたしはさておき」というこの発想がDV援助における最大の障壁となっているのが現状です。この「当事者性の不在」こそが、日本のDV問題にかかわっていくときの重要課題となっています。家族成員のなかに「困った」と声をあげる人が存在しない「当事者性のなさ」こそが、外部からの「介入」を必要としています。みずから援助希求をしない人たちであるからこそ、「介入」が必要なのです。今回は、DV解決のポイント「介入」の上手な方法を紹介します。


DVを発見するには?

DV発見最大のポイントは、家族と外部との関係です。たとえば子どもと学校、母親の受診先、父親の勤務先など外部との関係を調査し、加害者にとってなくてはならない「必須の関係」を見つけ出すことがポイントです。

生活保護受給者であれば福祉事務所との関係、アルコール依存症の親であれば医師との関係があげられます。薬物依存者であれば薬を買うお金であり、そのお金を与えている人です。これらはイネープラーといえる。加害者にとってなくてはならない必須のものを提供していることは、根本的なところでその暴力構造を支えていることになるからです。これを点検し、イネープラーを見つり出せば、それを動かすことで加害者が動く可能性が出てくる。

選択肢を狭める

選択肢を狭めることで誘導するアルコール依存症であれば、適当に飲んでいけることが当面の本人の希望である。なぜその希望が実現するかといえば、適当に飲んでいけるための金銭やケアを提供する者がいるからです。したがってそのイネープラーの行動を変えることで、その可能性を絶つのです。

このように選択肢を狭めることで、治療するか、飲んで家族を失うか(クビになるか)という二者択一までに誘導される。いわば生か死かのギリギリの地点に誘導して、あたかも本人の意思がそれを選ばせたかのように見せかけるのが「介入」のポイントである。この方法はDV加害者に対しても、妻と別れるか、DV加害者としてカウンセリングに行くかという選択肢提示として、しばしばおこなわます。

DV「介入」の例

たとえば、まず妻が突然子どもを連れて家を出る。その際、次の内容の置手紙をします。

1. あなたの行為はDVです。もうこれ以上あなたからの暴力を受けたくはありません。したがって家を出ます。

2. あなたがもし下記の機関でカウンセリングを3か月間受けてくれるのなら、その後もう一度話し合う機会をもってもいいと思います。

3. ぜひカウンセリングをを受けてください。
われわれのカウンセリングセンターを訪れる加害者の男性は、ほとんどがこのようなプロセスを経ている。

DVの場合、加害者に「介入」することは、ほとんど不可能です。なぜなら、多くの夫たちは「困ってはいない」からです。金銭的にも医療面においても困ってはいないからです。加害者の有する社会的権力の強さと「介入」の困難さは比例するといっていいでしょう。したがって殴られている被害者を対象とすることでしか、多くのDVケースには「介入」できないのです。

ポイントは「底つき」

アディクションアプローチの立場からは、嗜好行動の修正は「底つき」によって起きると考えられます。アルコール依存症者は説得されて反省して酒をやめるのでなく、生きるか死ぬかの現実に直面してはじめて酒をやめようと思うです。虐待も嗜好のひとつだとすれば、「困る」ことによってその行動は変わりうるのです。したがって、虐待への「介入」とは、親が「何に困っているのか」を見つけ出し、その問題を突破口としていくことです。子どもを虐待することが彼女の生活のバランスを保っているような一種の膠着状態にあるときには、あえてその親を「困らせる」ように周辺から事態を変えさせます。

「対の関係」は支配に転化する

2人関係を「対の関係」と呼びます。これは、適正な距離があれば、水平な、平場の、対等な関係を維持することはできます。しかし対の関係の二者が接近すれば、そこには双方からの、所有、一体化、支配の欲求が必ず発生します。

所有、支配の関係が有効に機能する場面もあります。たとえば恋愛関係。恋愛は支配欲求、所有欲求によって発動します。あの正気とも思えない一体化や所有の欲求が双方にとって快楽以外の何者でもないからこそ、他者からの「介入」を拒むのであす。

DV「介入」7つのポイント

1. 疑ってかかることからすべては始まる(発見):親はあぷない、夫もあぶない
2. 積極的に告げ口をしよう(通報):チクリの奨励
3. 共同戦線を組もう:1人じゃ戦えない
4. 決定のプロセスの明確化と役割分担:親分を決めよう
5. 作戦を練ろう:場当たり主義では負けてしまう
6. 他人の家に踏み込もう:プライパシーを無視しよう
7. 加害者と戦おう:会わせないのは義務である

DV解決には「介入」が大切です。

「DVと虐待―「家族の暴力」に援助者ができること(信田 さよ子)」の詳細を調べる

    
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