高学歴ワーキングプアとは?

高学歴ワーキングプアといった言葉はもはやおなじみなものになっているでしょう。世間では一流と言われるところの大学や大学院を出ていながらも正規の職につけない人々が溢れている問題を指します。これはなぜ起きてしまうのか。そしてこの言葉はいつ頃から言われはじめたものなのか。改めて考えてみましょう。

フリーター生産工場としての大学院?

高学歴ワーキングプアという言葉が広まるきっかけになったのが水月昭道による『高学歴ワーキングプア~:フリーター生産工場」としての大学院~』(光文社新書)です。著者は実際に大学院を出て博士号を取得したものの、正規の職につけない立場にある人でした。いわば当事者の告発として、この言葉は生まれたのです。

自業自得?

そこには大学院は就職が厳しいことを見越していったのだから自業自得なのではないかといった声があります。さらには、貧しくとも自分の好きな研究ができているのだからいいのではないかといった見方もあります。嫌な上司や、あるいは満員電車といったものを体験せずに済むならばいいのではないかといったものですね。しかしながら、それは大学院の実態を見ていないと言わざるを得ません。

大学院拡充化

本書では、高学歴ワーキングプアが量産されてしまう構造的な問題を指摘します。大学院生の数が増えることを目指した、大学院拡充化政策が国策によって行われました。しかしながら大学の正規の就職ポストは決まったままです。当然ながら競争倍率が上がるのですが、それでも就職できた人がいるわけで、サボっていた、研究の努力が足りないといった批判が大学院生には向けられます。いわばこれは椅子取りゲームの、椅子の数が減っているのに実力で勝ち取れと言っているようなものです。こうして見ると、大学院生が自由な研究活動を行っているというよりは不当な競争社会にさらされているということがわかるでしょう。