「東電OL事件」とは何なのか 事件を知らない人のための早わかり

近頃「東電OL事件」がニュースで流れるようになり、「東電が何か事件を起こしたのか?」と思ってしまう人もいるかもしれませんね。今から15年前の1997年、東京電力の社員だった当時39歳の女性が渋谷区円山町の古いアパートの一室で殺害され、現金4万円が奪われた事件です。エリート社員だった女性の意外な行動、DNA鑑定の正確さなど、事件のいたるところにある不可思議さが世間を騒がせました。この「東電OL事件」が騒がれることになったポイントを振り返ってみます。


■エリート女性社員が売春していたという衝撃

被害者女性は慶応大学を卒業後、東京電力に初の女性総合職として入社した、いわゆるエリート社員でした。しかし退勤すると、渋谷区円山町の路上で客を勧誘し売春を行っていたということが捜査が進むにつれ明らかに。金銭的にも余裕があるはずの彼女がなぜこのような行為に及んでいたのか。被害者女性は拒食症にかかっていたという証言もあり、大きなストレスに悩まされていたと推測されています。内容が内容だけに、当時、被害者家族のプライバシー問題にも発展しました。
 

■状況証拠のみで起訴されたマイナリ元被告

被害者女性が遺体となって発見されたのは、彼女が売春行為を行っていたとされるアパートの一室。容疑者となったのは、ネパール人のマイナリ元被告。マイナリ元被告も被害者女性が売春していた「客」の一人であり不法滞在している外国人でした。検察は殺害現場に残された使用済みコンドームに付着したマイナリ被告の精液と体毛がマイナリ被告のものと一致したことなど、複数の状況証拠をもとに起訴。マイナリ元被告は殺人については一貫して無罪を主張し続けていましたが、2003年、強盗殺人罪で無期懲役が確定してしまいました。

 

■そして今、 犯人は「第三者」の可能性が浮上

その後、被害者の遺体、殺害現場の複数の遺留物から、マイナリ元被告のものでない第三者のDNA型が検出された事実から東京高裁は「第三者が被害者と性交し、殺害した疑いがある」として再審開始と刑の執行を停止する決定を下しました。DNA鑑定の技術が向上したことから、以前より正確な鑑定結果が得られるようになったのも大きな要因です。逮捕されてから実に15年、刑の確定から8年半を経て、ようやく裁判のやり直しが認められ、さらに裁判所は犯人が第三者である可能性も示唆したのです。マイナリ元被告は不法滞在の罪は確定しているため強制送還という形ですが、15年ぶりに家族とともにネパールへ帰ることとなりました。それでは、本当の犯人は誰だったのか……。今後の裁判の行方が気になります。
 
東電OL事件をモチーフにした小説、ノンフィクション本は多数出版されています。この事件が物語るのは、15年前から現れていた社会のひずみなのか。未だに謎が多いこの事件を改めて読み返してみると、事件報道をリアルタイムで見ていた者にとっても、新たな考察ができそうな気がします。
 

グロテスク〈上〉 (文春文庫)(文藝春秋)

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