調査報道とは何か?

調査報道という言葉があります。これはいわゆるプレスリリース(警察発表などが代表的です)に頼らず、自ら取材者が継続的に調査を続けていくスタイルを指します。時間と労力がかかるため、日本のマスメディアで調査報道を熱心に行っている人は少ないといえるでしょう。


何を生み出すのか

清水潔による『殺人犯はそこにいる:隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件』(新潮文庫)は調査報道の鑑というべき名著です。本書では、北関東で連続して起こった幼女誘拐殺人事件を追ったものです。これは、足利事件というひとつの事件をめぐって、無実の人間が長期間投獄され、再審請求によって釈放されたことでも話題となりました。ただ、真犯人はいまだ野放しのままなのです。

どうやって見つけるのか?

著者は捜査資料の丹念な読み込みや、現地での聴き取り調査などをもとに、真犯人と思しき人物にたどり着いてしまいます。それは超能力者の力量ではありません。いわば地道な作業を手を抜かず行うことで成し遂げられたのです。それは当時の事件捜査のずさんさを浮き彫りにする作業でもありました。本書では足利事件で(結果的に冤罪であった)犯人逮捕の決め手となった「DNA鑑定」について言及されています。この「DNA鑑定」には当時「DNA型鑑定」が用いられていました。

どう違うのか?

「DNA鑑定」と「DNA型鑑定」はどう違うのか。型とあるのは血液型と同じものです。つまりはA型、B型、O型、AB型と4つに分類される血液型のように、いくつかに分類されるDNA型を一致させる精度しか、当時の科学鑑定の技術はなかったのです。犯人として捕まえられた人のほかにも、地域では1000人以上の該当者がいたともいわれています。科学捜査に対する絶対の信頼が揺らぐエピソードでしょう。

    
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