出所者の社会復帰のために…そんな施設の実態とは?

刑務所の中で過ごした日々の想い出は、自由が利かない、息苦しい、楽しくない、女がいない、人間関係がややこしいetc…
とにかく反吐が出る、二度と入るのは御免だ。
しかし、長いムショ生活ですっかりモーロクしてしまった仮出所者や刑期満了者に社会復帰などできるはずもない。

強力なコネクションや親類が会社を経営しているなど、何か特別な境遇でないと、ムショ帰りには社会の風は冷たすぎる。
そこで、社会復帰するために出所者をサポートしてくれる更生保護施設が全国に点在する。
その実態とはどのようなものなのだろうか。


3食、昼寝付きで3ヵ月間面倒看ます

今回話を聞いたのは、兵庫県にある更生保護施設『ふれあいの里(仮名)』の職員であるEさん。
彼自身、2度のムショ生活を体験した経験を持つ。
現在は、その経験もあり、難しい出所者の就職先を世話するなどの活動をしているという。

「無口な殺人犯、喋りすぎの詐欺師、下半身のくせが悪い猥褻犯、いるんな奴がいるけど、一度の過ちで人生を棒に振ってしまうのはもったいない。彼らが、なんとか再犯しないように抑止する、更生させるというのが一番の目的ですわ。しっかし、言うことは人間訊かんもんですなぁ」

出所後の不安を、入所者が刑務官に話すところから、NPO法人の施設を紹介してもらえる。
まずはそこがはじまりだ。その後は、施設関係者との面会。自分の罪状や得意なこと、社会復帰への想い、家族のことなどヒアリングして、
本人のことを十分に熟知したあとで、更生保護施設への入所手続きに入る。

朝昼晩3食付で、共同生活といえども個室待遇、個室にはエアコンやテレビなども付いているので、環境は非常に良い。ムショの中とは雲泥の差だ。
出所当日は、最寄りの駅まで電車で向かい、そこから職員が迎えに来てくれる。
タバコも好きに吸えるし、門限は夜の9時。それまでは、街をブラついても、酒を飲み行っても、風俗へ行っても構わない。

「他の施設は、外泊OKのところもあるけど、ウチはダメ。以前、宿泊など自由にさせていたら、近所の女子大生の寮に立てこもって、再逮捕されたんや。可哀想に女子大生を弄ぶだけ弄んで……。夜は魔物、それ以来は外泊禁止にした。無断外泊? そんなときは、保護観察の先生と最寄りの警察署との連携で刑務所に逆戻りやわな。そこまでいかんでも、厳重注意で、もう一回やったら終わりやね」

他の施設では、賭場や覚せい剤まで

ここまで自由が利く更生保護施設なのだが、就職活動や面接などにはシビアだ。
1日何件の応募をしたか、どこに面接に行ったか、何件の結果が届いたかなど、それをもとに施設の職員がアドバイスに回る。

「前科者やから、そううまくいくわけないわな。でも、ハローワークなんかで、こっちが話を通しておくと、前科者OKの就職先かてあるんや。それでも、なにが気に入らんのか。自暴自棄になる奴、自殺を考える奴、昔の稼業に戻る奴やらいろいろおるわ。他の施設では、ヤクザの息がかかってるところもある。一時期、隠れ蓑代わりにNPOを作る暴力組織も多かったから。連中、今準構成員やら少ないから、経験者や30代でもええし、自分の組に入れようとすることんい必死や」

なんと話を聞けば、夕食や入浴後に、一室をノミ屋にして賭場をたてている連中やもいるという。
一番酷いのは、薬物の販売。施設内で、当たり前のように注射器などが売られているそうだ。

「ふざけたところになると、テルモちゃん(※注射器)がゴミ箱に捨てられていることもあるらしいし、台所のアルミホイルがやけに減ったり……。まぁ、とんでもないところがあるのはホントやわ」

他には、裏求人の横行。就職活動をしていると、割のいいバイトの話が転がり込んでくる。
たとえば、某店ドライバーや裏カジノの用心棒、借金の取り立て、窃盗団の監視役など、生活しているだけでいろいろと声がかかるのだ。

「心配しているのは、俺らの立場の人間だけ。その時が楽しければ、いいって連中が多すぎる。じゃないと、そんなバイトに気軽に手を出すわけがない」

その後、この更生保護施設を出て、刑務所に舞い戻る人間は、およそ7割。
彼らは口をそろえて言う。「社会から爪弾きにされた」「どうせは犯罪者、誰からも求められてはいない」「クズはどうやってもクズ」
しかし、本当にそうなのだろうか。

「自分のことを卑下しているだけ。くだらない犯罪で、家族とも生き別れになった連中が多いのに、刑務所でなんにも更生できてない。やっと生まれ変われた……そんな気持ちでがんばってほしいのに。俺みたいな奴でもなんとかできたのになぁ……」

そう、Eさんは嘆いた。今日もEさんは、彼らのために就職票を握りしめて出所者たちのために零細企業を走り回る。

(丸野裕行)

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