反抗以前の子供たちとは?

社会はさまざまな場所で壊れつつあるといわれてきていますね。日本はかつてのような一億総中流で豊かな国ではないともいわれつつあります。それは果たして本当にそうなのかと思いますが、日本のある部分が確実に壊れつつあるのは確かでしょう。

社会を知る

そうした壊れゆく日本の実態を知ることができる本が宮口幸治による『ケーキの切れない非行少年たち』 (新潮新書) です。筆者は自動精神科医として多くの子供たちと接していく中で「反抗以前の子供たち」がいるという事実に気づきました。これは果たしてどういうことなのでしょうか。

不良ではない

不良と言えば、社会や学校などの体制に反抗をして、ありあまるエネルギーを発散させているといったものがステレオタイプなイメージとして浮かびます。そうした人たちは、実際のところは情に厚かったり、更生すればまじめに働くといったことがいわれてきました。いわゆるマイルドヤンキーといった言葉で肯定的にとらえられることもありましたね。しかしながら、実際はまったくことなる実情がそこにあるのだと筆者は暴露します。

ケーキも切れない

例えばなにげない日常生活において「ケーキを切る」という行為ができない子どもたち、認知力が弱い人達がいるとされています。こうしたものは成人してからでも、居酒屋でメニューを取り分けるといった行動においても支障が出るものではあるといえるでしょう。ある統計によっては、人口の十数%いるとされる「境界知能」と呼ばれる人たちに本書では焦点を当てています。これは、単に勉強ができない、勉強を放棄しているといったことにとどまる話ではありません。これからの日本社会にとって重要な問題であり、なおかつ、それを密かにわかっていながらも放置や静観を続けてきた問題が浮き彫りになっているともいえるのではないでしょうか。ひとつの社会の実態を知るのに役立つ本ではあります。